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『同意』の定義がなぜ必要か

 「同意」、「対等」、「強制」は性加害や性問題行動を考えるうえでも、また加害者にならないためにも被害者にならないためにも重要です。こうした言葉の定義がなぜ必要かといえば、性問題行動(性加害者)を対象に心理支援や指導を行う時に、対象者(クライエント)も心理支援の実施者(セラピスト)や支援者も、最初に正しく理解すべきだからです。性問題行動により心理支援や指導を受けている青少年は、加害行動とはなにかということ知らないからだとだ、本書(Juvenile Sexual Offending)では指摘されています。

海岸 性問題行動、性加害のある対象者(児)は悪いことをやった、と思っています。さらに説明を求めると、警察で言われたから、親や先生から怒られたから、法律を破ったので怒られても仕方がないと口にします。間違いではありません。しかし、そこに『同意』の視点がありません。

 本書の第17章「理論と方法の統合:目標志向的アプローチ」にも先にご紹介した第1章同様に『同意』の定義が繰り返されます(p.283)。

(a)申し出があったことについて、曖昧にされたりごまかされることなく理解すること。
(b)その文化において、家庭において、仲間のうちでその行動の標準を知っていること。
(c)烙印を押されること、罰や苦痛をうけること、病気になることなど起こる可能性のある結果を知っていること。
(d)同意しても同意しなくても尊重され、その影響を受けることはない


ポスト
 ここに明示されていませんが、第1章の定義にあった自発的な行動であることと精神的能力は、定義の前提であり、 全ての項目に含まれていると解すべきです。

 『同意』は二人以上が関わるのですから、その関係ややり取りのあり方や特性を定義します。性問題行動により心理支援や指導を受けている彼らが同意に関して言及しないということは、自分と相手(被害者)という意識が薄く、自分の行動が相手(被害者)に対して強い影響を与えるという「加害」の認識に乏しいことを示しているかもしれません。

 相手に害を与えるという加害を認識するために、『同意』の定義をはっきりと示す必要があります。問題行動により心理支援や指導を受けるすべての対象者が理解すべき点です。ここがあいまいであると被害や被害者の理解はおぼつかなくなります。本書が指摘するように、支援や指導の重要な第一歩です。未成年者の性犯罪や性加害は、非行や他の犯罪同様文字通り加害(Abuse is Abuse Concept)であるとというのが本書の立場です。ルールの無視や違反だけにとらわれると、それに対する罰に比重がかかりすぎる可能性があります。
                                          (ホンダタカシ)

2022/05/19 15:15 | 未分類trackback(0)  | top

「対等」、「強制」は「同意」を考えるうえで重要です

 前回ふれなかった対等と強制を取り上げます。前回のテーマであった「同意」、今回の「対等」と「強制」は、相互交流や人間関係の質を決定する要素、加害や搾取の有無を決定する要素です(p.4)。対等と強制は同意に深く関係します。

DSCF6850.jpg
 「対等equality」は身体面、認知(能力)、感情発達に求められます。一方が受け身的で他方がアサーティブであれば、対等とは言えません。パワーがある側とコントロールされる側では対等ではありません。権威の違えば対等さが損なわれます。  体格や体力などの差はわかりやすいものですが、認知能力や感情発達は生活経験などさまざまな要素から影響を受け、成人と子どもなど年齢差が大きい場合ははっきりしていますが、子ども同士であればその違いを知ることは難しいかもしれません。しかし、年長児が年少児の面倒を見る、クラブやチームなどの集団でリーダーが他メンバーを引っ張るなどの関係では差が出やすいものです。人気がある、可愛がられている、才能があるといった特性が違いを生むことがあります。
 対等さは同意に必要な要件です。

 「強制Coercion」は相手(被害者)の自由な選択を否定する圧力です。力による威嚇、危害の脅威、または明らかな暴力によって表現されます。金銭などが性的関与の見返りとして提供されるれば、わいろは強制の手段となります。強制と言うと暴力などを加える、与えることに目が行きがちですが、愛情や友情を与えない、ケアをしないなどの拒否や喪失の恐怖を与える、従わないと嫌われるといったものもあります。強制はまた口止めにも使われます。

 同意、協力、服従、対等、強制の5つのキーワードは性問題行動や性加害を検討するうえで重要な観点です。子ども間の性問題行動は成人と子どもの間に比べ明確ではなく、結果として見えにくくなっていると思われます。性加害かどうかを見極めるのに困難が伴い、そのうえ慎重であろうとすると、結果として判断が遅れ、適切な介入ができないおそれもあります。
 5つのキーワードは大人も子どもも、支援する側も支援を受ける側も等しく知っておくべき考え方です。


 これまで全く聞かなかったセロニアス・モンクのレコードを3枚立て続けに買いました。米国のジャズピアニストであり作曲家でも 0425.jpg あるモンクは、1917年(大正6年)生まれ、1982年(昭和57年)に64歳で死去(文藝別冊 セロニアス・モンク 略年譜, 河出書房新社 2017)。レコードはいずれも異なる別レーべルで最近あらためて発売されたもので、180gの重量級!?だと謳っています。ちなみに手元にある日本ビクター版SMJ7137「バグズ・グルーブ」は133g。
 Monkについては、個性的、変人奇人、天才的、不協和音、たぐいまれ、摩訶不思議な音楽、など人柄や振る舞いと音楽の特徴をまぜこぜにして散々言い尽くされ、村上春樹にいたってはその音楽を「謎」と言いあらわしました。(「セロニアス・モンクのいた風景」新潮社の腰巻)Brilliant Cornersのライナーノート(Orrin Keepnews)にあるように「because Monk is himself モンクはありのままの彼だから(himselfはイタリック体)」
 レコードで聞くとモンクのピアノ音は削りたての骰子のようにカタカタコロコロと転がりぶつかり合い流れます。                 (ホンダタカシ)

2022/04/25 16:08 | 未分類trackback(0)  | top

「同意」には6つの条件がある

  昨年よりASB研究会で「未成年者性犯罪:原因、結果、矯正」(Juvenile Sexual Offending:Cause, Consequences, and Correction. 3rd edition (2010). John Wiley & Sons, Inc.)の翻訳と学習をASB研究会で再開しました。内容を実践経験に照らし合わせて検討し、理解を深めています。
 本書は2020年12月8日に一度このホームページで概要を簡単に示しています。「キックスタート」の制作をはさんで、かなり時間があいています。大著ですので、着目したところを中心にあらためて紹介します。
DSCF6851.jpg
  第1章は「性加害未成年者:課題の明確化と対象集団」Sexually Abusive  Youth :Defining the Problem and the Populationです。章のタイトルにあるabuseは「虐待する ・・に悪口を言う, 濫用する」などの訳語がありますが、虐待は児童虐待のイメージが強すぎるので、ここでは「加害」と訳しました。youthはjuvenileと同じく「未成年者」です。最近その法律上の定義が変わりましたが。

 性加害には直接触るなどの接触型の「行動」が注目されがちですが、それだけではありません。見る/見せるや言葉かけなど非接触型の行動があります。不快で危険を感じさせる行動や不快な接近や言葉かけなどのセクシャル・ハラスメントも性加害に含まれます。

 加害であるかどうかを明確にするのは、「同意Consent」、「対等Equality」、「強制Coercion」の3つの要素だとされます。
 最も重要な同意から説明します。同意とは、次の(a)~(f)について当事者の意見の一致がある、確かにそうだと認識していることです。

(a)申し出の内容を知っている
(b)申し出の内容に関する社会の基準についての知識がある
(c)可能性のある影響や結果、選択肢にわかっている
(d)合意も不合意も等しく尊重されるとの前提がある
(e)自発的な決定/選択である
(f)精神的能力(コンピテンス)がある

 同意とは単に「はい」と言うことではないことは明らかです。提案されていること、ここでは広い意味での性行為ですが、その内容を理解しているだけでなく、社会の基準を知っているも含みます。さらに、行為の結果や影響についても、またさまざまな点についての選択肢も分かっています。その結果、「はい」と合意することもよく、「いや」と拒否することも自発的に表明できます。これら6つの条件が満たせないときは同意が成立しません。

 こうした一連のことを検討し判断する実力が必要です。精神的能力(コンピテンス)とありますが、それは、その年齢段階で過不足なく行えることで、日常生活をおくる、コミュニケーションをとる、考える・記憶する・判断する、自分を落ち着かせる・自分を奮い立たせる、自分に自信を持つ、自分の意見を言う・人の意見を聞く、などあらゆる領域にまたがる能力です。一方に知識があり、他方にはそれほど知識がない不均等な状態であれば、不利益をこうむる可能性があります。同意は容易に成立するとは限りません。
 注意すべきなのは、「協力cooperation」と「服従compliance」との違いです。協力は、個人の考え方や欲求に関係なく積極的に参加することを意味し、同意がない場合もあります。服従は、賛成できない考え方や欲求があるにもかかわらず、抵抗せずに受け身的に関わることです。協力的であったからといって、また、言ったとおりに行動したからといって、同意があったとはいえまぜん。行動だけをみれば、同意と見かけ上似ていますが全く異なります。協力や服従と同意の混同や取り違えは、加害につながるかもしれません。未成年者などを念頭におけば、本書の指摘は大変重要です。

 「同意」については、法律上、(性的/性交)同意可能な年齢が問題になります。これまでも法務省でその年齢の引き上げなどに検討され、また話題にもなりました。国によって異なり、日本では刑法176条により13歳(監護者にあっては18歳、刑法179条)、アメリカでは州により異なり16歳から18歳だとされています。何歳で線を引くかという年齢だけの問題だけでなく、性虐待/性被害をどうとらえるかというという点に深く関わる論点です。この点については、「ACEsスクリーニングの性虐待項目はワイアットWyatt(1985)の研究を参考にした」(2021年3月7日)でも論じています。 
 年齢だけを取り出して論じるのはなく、同意の観点からも年齢を論じる必要があります。個別の要素が強くなる可能性もありますが、加害者にならないためにも、被害者にならないためにも重要です。法務省において「『性犯罪に関する刑事法検討会』報告書」(平成3年5月)が公表されています。 IMG_3156.jpg
 言うまでもないことですが、戦争は最悪の加害です。初めにふれた「対等」と「強制」についてはあたらめて取り上げます。


 本を参考にして、6080×6のOTLアンプ以来、ひさしぶりに6L6シングルアンプを作っています。いずれも雑誌や書籍のコピーですが、コストダウンを目論んで電源部をチョークによる平滑回路からMOSFETのリップルフイルターに変えました。はたして計算通りうまくいくのか。
              (ホンダタカシ)

2022/03/23 12:53 | 未分類trackback(0)  | top

ACEsスクリーニングにあわせてPCL-5を実施することがあります

  児童期逆境体験ACEsのスクリーニングである「子ども時代のつらかった体験(ACEs)についての質問表」を実施したあとに、トラウマがもたらす症状や問題を調べるために、PCL-5 というチェックリストを併用することがあります。

  PCL-5は、「精神疾患の分類と診断の手引DSM-5」の心的外傷後ストレス障害PTSDの20の症状をアセスメントする自己記入式のチェックリストです。以下に項目を簡略にして示します。詳しくはDSM-5 を参照してください。
 1) 不快なストレス体験の望まない想起の繰返し                       11) 恐怖、怒り、罪悪感などの否定的感情
 2) 繰返されるストレス体験の悪夢                                             12) 重要な活動への意欲低下
 3) ストレス体験が再び起こったのように感じる(解離/フラッシュバック)
 4) 何かのきっかけでストレス体験を思い出し動揺する            13) 疎外感 
 5) ストレス体験を思い出した時に激しい身体反応                    14) 幸福、満足、愛情を感じられない
 6) ストレス体験につながる思考や感情等を回避                        15) 攻撃的な行動
 7) ストレス体験につながる人や場所などを回避                        16) 自己破壊的で危険を冒し自分を傷つける
 8) ストレス体験の重要部分の想起不能                                       17) 警戒的で注意深く用心深い
 9) 自己・他者・世界に対する持続的で過剰な否定的認識          18) 過敏でちょっとしたことに驚く

  10) ストレス体験についての自己や他者への非難                        19) 集中困難
                                                                                                          20) 睡眠障害

PCL-5.jpg     それぞれの症状について、この1カ月間、どれほど悩まされたかを、0(まったくない)から4(非常にある)までの5段階で評価します。トラウマとなるような出来事にさらされること(暴露)についてはDSM-5の診断基準Aにしめされています。得点集計もできますが、PCL-5のみでの診断は推奨されていません。

  web上で情報が入手できるPCL-5は、2つあります。ランカシャー・トラウマテイック・ストレス・サービスのものと、 アメリカ合衆国退役軍人省国立PTSDセンターのものです。

  この2つは、20項目の内容と5段階評価は同じです。しかし、DSM-5のPTSDの診断基準Aの扱いが異なります。
  ランカシャー版は、表紙に診断基準Aがあり、「頭に浮かべている具体的な特定の出来事 specific event」を書くよう求められます。
  アメリカ版は診断基準Aの扱い方に3種あります。
①基準Aなし:(トラウマになるような)最悪の出来事 worst eventに悩まされた期間により1ヵ月版と1週間版とがあります。
②基準 A 付き:最悪の出来事について、内容、遭遇した時期、経験の状況(直接体験した、目撃した、身近な人が経験した、仕事上経験した)を記入します。「 仕事上」とは、救急隊員、消防士、第一対応者などを指します。
③DSM-5用ライフイベント・チェックリスト(LEC-5)と基準A付き:LEC-についてはあらためて説明します。
  
  ランカシャー版を翻訳して知的・発達障害者を含め数例試行したことがあります。しかし、内容を平易な表現にするにも限界があり、かなりの補足説明が必要でした。また、症状や苦痛があるーないについては回答できますが、その程度を5段階に評価するのにかなりの戸惑いがありました。苦痛や不快の程度を自分だけのものさしで測るのは容易ではありません。

  障害の特性や程度によって異なりますが、単回の自己記入式チェックリストや面接だけでは、トラウマの症状や問題をとらえきれないおそれがあります。本人が気づかない、あるいは本人が伝えるのにためらいを感じるなども考慮すれば、ある程度の支援を続けながら探索するべきではないか。そのときの重要な手引きのひとつがPCL-5ではないかと思います。本来の使用法とは異なりますが、トラウマ症状の有無や程度を知るには十分役立ちました。


・DSM(APA)  Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 精神疾患の診断・統計マニュアル →「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」(医学書院, 2014)  Desk Reference to the Diagnostic Criteria. APA, 2013
・ランカシャー・トラウマテイック・ストレス・サービス Lancashire Traumatic Stress Srevice (Lancashire Care NHS Foundation Trust) https://www.lscft.nhs.uk/media/Publications/Traumatic-Stress-Service/newPCL5.pdf
・イギリスの国民保険サービスNHSについては外務省ホームページを参照 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/europe/uk.html
・アメリカ合衆国退役軍人省国立PTSDセンター U.S.Department of Veterans Affairs PTSD: National Center for PTSD PTSD : Checklist for DSM-5 (PCL-5) https://www.ptsd.va.gov/professional/assessment/adult-sr/ptsd-checklist.asp


(ホンダタカシ)


2022/02/07 17:00 | 未分類trackback(0)  | top

『子ども時代の体験(ACEs)質問表』は児童期逆境体験ACEsのスクリーニングです

 「子ども時代のつらかった体験(ACEs)質問表」は、「キックスタート, トラウマを理解する」とならんで、『心理教育教材「キックスタート, トラウマを理解する」活用ガイド―問題行動のある知的・発達障害児者を支援する』のもうひとつの中心です。長くて説明のようなタイトルですが、児童期逆境体験ACEsに関するスクリーニング・ツールであることを、分かりやすく示しました。このページでこれまでいくつかに分けて解説してきましたが、あらためて。

 以下の⑲項目について体験したかどうかを「はいーいいえ」で回答します。虎

①心理的虐待
②身体的虐待
③性的虐待
④心理的ネグレクト
⑤身体的ネグレクト
⑥両親の不和(離婚、別居)
⑦母親への暴力の暴露
⑧家族の問題飲酒、違法薬物/物質の使用・乱用
⑨家族の精神疾患、自殺の試み
⑩家族の刑事施設収監
⑪いじめ(きょうだいを含む仲間や友人からの身体への暴力や言葉の暴力被害)
⑫いじめ(仲間や友人からの孤立、拒否)
⑬危険な地域社会での居住、暴力の暴露
⑭貧困
⑮差別
⑯社会的養護
⑰家族の重い疾患
⑱家族との死
⑲自然災害、事故
 これらの質問項目は、CDCのオリジナルにいくつかの研究成果を取り入れたLevenson, Willis, &  Prescott(2017)のAppendix A 「Ace Tool Questionnaire」を訳したものです。翻訳には坪井(2014)を一部で利用しています。この質問表は、児童虐待にとどまらず、⑪⑫いじめや⑮差別など幅広い被害体験を対象にしているところが特徴です。

 スクリーニングは情報に漏れがないようにどちらかといえば補足的に実施するものと思っていましたが、それは誤りだったと気づきました。面接で被害体験を聞くためには、対象者と面接者との関係がかなり深まっている必要がありますが、(心理)支援の早い段階で把握するには困難があります。調査についても同様で、本人や家族にとどまらず幅広く関係者を網羅して被害体験を聞き取るのは難しい。

   「子ども時代のつらかった体験(ACEs)質問表」はとりあえず実施しておくものではなく、スクリーニング(チェックや見極め)のための重要なツールであると認識すべきものです。これまでの試行においてもそれは実感しています。

 実施方法や考え方などは本を参考にしていただくとして、実施後には新たな事態の判明や本人の感じ方や認識が一層明らかになって、心理支援や生活支援がより効果的な方向へと変化します。トラウマ・インフォームド・ケアTICの意義や必要性が姿をあらわします。

十二支考
  今年の干支は寅ですが、挿し絵のトラは猫に近い。寅年に産まれた子に於菟(おと)と名付ける例があると南方熊楠の『十二支考』(平凡社 東洋文庫) の「虎に関する史話と伝説、民族」にあります。楚の宰相になった子文は幼い頃山中に遺棄されたが、虎が自分のお乳で育てたので、幼名を闘㝅於菟(とう こくおと)といい、闘氏の子で虎(於菟)の乳(㝅)で育った子という意味だそうです。荒々しく猛々しいというイメージとは少し異なります。また同書には「虎はなかなか占いが好きでみずから占うのみならず、・・」ともあります。どんなトラ?

坪井聡(研究代表者)(2014)「児童虐待の被害を測定する国際的調査票の日本語版の作成 科学研究費助成事業 研究成果報告書」Retrieved from https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/AKENHI- PROJECT-24790625/(January 9, 2018)

   (ホンダタカシ)


2022/01/10 19:24 | 未分類trackback(0)  | top

『「キックスタート, トラウマを理解する」活用ガイド―問題行動のある知的・発達障害児者を支援する』を刊行しました

 『心理教育教材「キックスタート, トラウマを理解する」活用ガイド―問題行動のある知的・発達障害児者を支援する』長い題名です。さらに、『実践ツール 「キックスタート, トラウマを理解する」「子ども時代のつらかった体験(ACEs)質問表」』と続きます。明石書店からの刊行です。

キックスタート表紙
  この本で最も力を入れたのは【実践のためのツール】です。ツールは4つあります。
「キックスタート, トラウマを理解する」
「子ども時代のつらかった体験(ACEs)質問表」
「子ども時代のつらかった体験(ACEs)質問表」に答える人の同意書
「子ども時代のつらかった体験(ACEs)質問表」結果整理表

  本文は【実践のためのツール】の前にありますが、いわば4つのツールの解説という位置づけです。その内容は5つに分かれています。
 1.トラウマ 
 2.スクリーニングから心理教育へ
 3.実践
  4.事例による解説
  5.トラウマ・インフォームド・ケアTIC の導入

 【実践のためのツール】の最初は,本のタイトルでもある「キックスタート, トラウマを理解する」(「キックスタート」と呼びます)です。トラウマについて正しく理解し、必要な情報を身につけるための心理教育の教材です。
 心理教育とは、対象者(本人)の心理面や特性を理解し配慮しながら正しい知識や情報を伝えることです。なぜ心理面などには配慮するかといえば、ややもすれば対象者が簡単には受け止めがたいテーマを扱うからです。

 ですから、「キックスタート」のページを読んでおくよう手渡す、というのではなく、対象者と支援者や説明者がいっしょに読む進めます。その時,支援者や説明者は解説するだけでなく、対象者の様子や状態にも気を配ります。

  この「キックスタート」は2019年の夏に作り始めました。トラウマがあり、さらに問題行動のある対象者に関わっていましたが、効果的に心理支援や生活支援を行うためには、トラウマなどを正しく理解してもらう必要があったからでした。口頭だけの説明に終始するだけでは、理解は進みません。対象者が手に取って読むことができる分かりやすい教材が必要でした。そうしたものが見当たらなかったので作りました。虎馬


 SAMHSA(2014)やナジャヴイッツのSeeking Safetyが大いに参考になりました。なかでもSAMHSA(2014)は、「キックタート」で取り上げるテーマ、書くべき内容、順序などを決めるのに重要でした。それらを参考にして、自然で、率直、簡潔な文章をつなぐことに苦心しました。

 書きあげた「キックスタート」を本人に説明し、知らない単語や分かりにくい文章を本人にチェックしてもらい、またASB研究会でも意見交換し、繰り返し書き換えました。

  最初のタイトルは「トラウマを支援者と学ぶ」でした。支援者が対象者(本人)に教授するという関係ではなく,本人も支援者もともにトラウマについて学んでほしい、得た知識と本人の体験を結びつけて理解し、支援に役立ててほしい、という意図をこめました。
 キャッチーな愛称も必要だと思い、「キックスタートKickstart」を加えました。オートバイについているキックスターターという装置を蹴り上げ/下げてエンジンを始動することです。
ライオン
 キックスタートと名付けるとさっそうと駆ける抜ける印象ですが、こっちの家からあっちの家へと路地を縫うように走り届ける郵便屋さんか新聞屋さんのオートバイのイメージです。

 タイトルは変遷を重ね「キックスタート,トラウマを知る」、さらに「「キッスタート,支援者とトラウマを学ぶ」、最後に「キックスタート, トラウマを理解する」に落ち着きました。

  実践から制作が始まった「キックスタート, トラウマを理解する」をどうぞご活用下さい。     (ホンダタカシ)


SAMHSA (2014). Trauma-Informed Care in Behavioral Health Services TIP 57.  U.S. DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES Substance Abuse and Mental Health Services Administration Center for Substance Abuse Treatment) Retrieved from  http://store.samhsa.gov/product/TIP-57-Trauma-Informed-Care-in-Behavioral-Health-Services/SMA14-4816 (January 9, 2018)  Najavits, L. M.(2002)Seeking Safety: A Treatment Manual forPTSD and Substance Abuse.Guilford Press.リサ・M・ジャナヴィッツ 松本俊彦・森田展彰(監訳)井上佳祐・今村扶美・川地拓・古賀絵子・齋藤聖・高野歩・谷渕由布子・引土絵未・渡邊敦子()(2017)PTSD・物質乱用治療マニュアル:シーキングセーフティ 金剛出版) 
      



2021/12/17 10:15 | 未分類  | top

架空の事例を書くのは難しい

 これまで、児童期逆境体験ACEsのスクリーニング項目に関する文献をご紹介してきましたが、原稿の加筆や修正も大詰めです。
 トラウマやその影響、問題行動との関連などの理解を深めるために、事例をしめしてはどうか、という宿題が残っていました。事例とは言っても実際の事例ではなく、架空のものです。これがなかなかの難問です 。

 事例を書くためには、これまで、どこで、誰と、どんなふうに生活してきたか、学校や仕事のことなど主人公の歴史が用意しなくてはなりません。そのなかで、トラウマにつながるような子供時代の出来事を何歳ごろにどのように体験したかを書きます(児童期逆境体験ACEs)。その出来事はトラウマにつながり、人生のいろいろなめに影響を及ぼします。その結果、本人は反応し、対処しますが、周囲のリアクションもあります。これまで、トラウマとその影響に対してどのように対処してきたか、あるいはしてこなかったか。

 こうした過去は現在に引き継がれます。現在の職場、あるいは生活の場での生活の様子とトラウマの影響のあらわれ方があります。トラウマが深く関わっているこれまでの生活状止まれ況を、この主人公はどのようにとらえているかも大切です。

 知的障害のある主人公を設定したので、さらに障害者者福祉の枠組みや障害特性が加わります。就労や教育、福祉などそれぞれの領域の支援者がそこに加わります

 事例が展開していくなかで、トラウマについての児童期逆境体験ACEスクリーニング、アセスメント、「キックスタート』による心理教育を行い、トラウマ・インフオームド・ケアTICの実践がスタートします。

 こうした多様な条件と変化を矛盾なく自然な形で構成し、表現しなくてはなりません。なかなか骨の折れる作業でした。さらに、事例では問題行動もあったとしており、事態はさらに複雑になっています。
 
 登場人物や支援者が家や職場で困っているようすや困惑した考え方などを会話や行動で表しますが、読み手に対してはそれらをわかりやすく解説しなければなりません。最も難しいのはこの使い分けでした。 

 解説を増やすとストーリーの展開はスムーズになり、読み手に対して知識や考え方などを整理して伝えることができます。同時に、登場人物の行動が減ってしまい生き生きとしたい印象が薄れます。逆にすると登場人物はくっきりとしてきますが、説明がわかりにくくなるおそれがあれます。

  書き手は、主人公でなく、主人公をとりまく家族や支援者など登場人物のことも、過去も未来も、全てを知っており掌握しています。ミステリー事例の主人公の視点で書くのか、それとも書き手=解説者の視点かということになります。書き手の視点とは小説でいえばすべてをコントロールする神の視点です。


 書く視点については、真保裕一『視点の選び方』を読んでいて気づきました。「ミステリーの書き方」日本巣行き作家協会(編著)幻冬舎、のなかの一編です。なかなか面白い本でした。
 「ミステリーって、どうやって書くの? どうやったらアイデア出てくるの?ストーリーを思いつくの?」って時々人から訊かれることがある」とまえがきの冒頭で東野圭吾が書いていますが、その問いに対する答え(に近い)内容です。大沢在昌、北方謙三、馳星周など著名な作家がつぎつぎと登場します。 

 なかでも興味深かったのは、あらかじめ登場人物の年表をきちんと作って、矛盾なく自然に成長させ、あるいは行動させているところです。プロットをつくり、謎を仕込み、緊張感を維持しながら、驚きを伴って解決に導く、ミステリーを書くのは大変です。まえがきの東野圭吾は「苦労して」と中ごろで結んでいます。
                        (ホンダタカシ)


2021/05/03 17:08 | 未分類trackback(0)  | top

「フイラデルフイア都市部児童期逆境体験調査結果(2013)」もスクリーニング項目に追加された

 これまでの児童期逆境体験ACEsの研究は、どちらかといえば、白人、中産階級、高学歴の個人を対象とした調査研究でした。しかし、もっと多様な人々に対して同じような調査を行うと同じような結果が出るだろうか。こうした疑問から、「フイラデルフイア都市部児童期逆境体験調査結果」Findings from the Philadelphia Urban Ace Survey」(2013)が実施されました。「安心安全な家族研究所」The Institute for Safe Families(ISF)による調査です(https://www.rwjf.org/en/library/research/2013/09/findings-from-the-philadelphia-urban-ace-survey.html)。身体的、心理的、性的虐待や家庭機能不全などの児童期逆境体験が、成人期の健康行動や健康転帰にどれほど悪影響を及ぼすか、という目的は同じです。

 この調査報告書の表1(p.2)、表2(p.4)から、調査対象の分布の一部を抜き書きします。最初のCDCによるカイザー研究(The Kaiser Study; Felitte, et al.,1998)、このフイラデルフイアの都市部調査樹 、さらにフイラデルフイア在住者について、18歳以上の調査対象者の人種や学歴の比率を比較します。ただし、サンプル数はかなり異なります。

 カイザー研究(CDC)  白人74.8% アフリカ系(黒人)    4.6% アジア系 7.2%
   フイラデルフイア調査  白人44.1% アフリカ系(黒人) 42.5% アジア系 3.6%
   フイラデルフイア在住者 白人38.8% アフリカ系(黒人) 36.1% アジア系 6.2%

 カイザー研究(CDC)   高卒前  7.2%  高卒17.6%  大卒または以上39.3%
   フイラデルフイア調査   高卒前10.3%  高卒31.4%  大卒または以上35.7%
 フイラデルフイア在住者  高卒前20.0%  高卒35.7%  大卒または以上22.5%

 この比較をみるとカイザー研究(CDC)は、やや偏りがある可能性があります。より多様な対象者を想定すれば、調査する項目の内容も多様化すべきではないかと考え、フイラデルフイアの都市部調査ではさらに項目が追加されました。カイザー研究(CDC)は以下の①から⑩の項目でしたが、フインケルホーらの研究で⑪から⑭が追加されました。

①心理的虐待
②身体的虐待
③性的虐待
④心理的ネグレクト
⑤身体的ネグレクト
⑥両親の不和(離婚、別居)
⑦母親への暴力の暴露
⑧家族の問題飲酒、違法薬物/物質の使用・乱用
⑨家族の精神疾患、自殺の試み
⑩家族の刑事施設収監
⑪いじめ(きょうだいを含む仲間や友人からの身体への暴力や言葉の暴力被害)
⑫いじめ(仲間や友人からの孤立、拒否)
⑬危険な地域社会での居住、暴力の暴露
⑭貧困
⑮差別
⑯社会的養護

 「フイラデルフイア都市部児童期逆境体験調査」ではさらに⑮人種や民族による差別、⑯社会的養護が加えられました。⑯はfoster care(里親)ですが、児童施設をも含む社会的養護としました。フイラデルフイア都市部研究の⑪と⑬は少々変更されました。⑪はイジメとあった表現から内容が詳しくなり、⑬は「近所で安全だと感じた/近所の人たちは、お互いに気を配り、お互いのために立ち上がって、信頼される」からより危険さが強調される表現に変更されました。

 フイラデルフイア都市部研究で変更されたアンケート項目の回答率をみると、⑬暴力の暴露(40.5%)、⑮差別の経験(34.5%)、⑬危険な地域社会での居住(28%)、いじめ(7.9%)、里親/社会的養護(2.4%)でした。高い率を示している項目が目に付きます。差別や暴力の暴露(暴力を目撃すること)など地域社会に関連したストレス要因や有害性にも着目し、サービスや施策の必要性を論議しています。

辞典
  閑話休題。原稿を手直しするために、小内一(2015)「てにをは連想表現辞典」(三省堂)を買いました。かなり個性的な辞典です。
 文章表現するときの連想の輪を広げるために、作家による22万の用例が載っています。例えば、「泣く・涙ぐむ」の項(この辞典ではグループと呼ぶ)では、嬉し泣き、大粒の涙に始まって、男泣き、めそめそまで32語(見出しと呼ぶ)ならんでおり、その一語一語に表現例がついています。
 類語辞典やコロケーション辞典(二語以上の慣用的つながり方)のようにもみえますが、用例の豊富さがケタ違いに多いので、読んでいて面白く、どの単語を選ぶか、こう書こうか、など表現のアイデアが浮かびます。箱のイラストはことばの海を泳ぐクジラです。
     (ホンダタカシ)



2021/03/16 17:54 | 未分類trackback(0)  | top

フインケルホー Finkelhor(2015)は児童期逆境体験ACEsに新たな項目を追加した

  児童期逆境体験ACEsのそれぞれの項目が、その後の身体面や心理面の健康にどのような影響をもたらすかを検討することを目的に始まりました。心臓病や肝臓病、うつ病などさまざまな疾患などとの関連性です。
 はじめの項目は以下の10項目でしたが,
ジャングルジム

①心理的虐待
②身体的虐待
③性的虐待
④心理的ネグレクト
⑤身体的ネグレクト
⑥両親の不和(離婚、別居)
⑦母親への暴力の暴露
⑧家族の問題飲酒、違法薬物/物質の使用・乱用
⑨家族の精神疾患、自殺の試み
⑩家族の刑事施設収監

 フインケルホーらFinkelhor(2015)の研究では、子どもの発達に悪影響を及ぼすのはこれらだけでは不十分ではないかと考えました。これまでの研究成果を検討して、仲間や友人との関係における暴力的ないじめ、あるいは無視や拒否などの心理的なイジメ,さらに家庭の経済状況、近隣や地域社会の状況なども項目に含めれば、心身との健康との関係をより明確にできるのではないかと考えました

 いじめ、仲間や友人からの拒絶や孤立は、上の①から⑩のような家庭の要因とは別ですが,子どもの発達に強く影響するはずです。社会的経済的問題は健康に対して直接,間接に影響を及ぼす可能性があります。
 フインケルホーらの研究では、10~17歳の未成年者1,949人調査が、電話で調査されました。年齢階層、性別、人種/民族、保護者の状況など偏りを重みづけされました。
 その結果、以下の⑪から⑭は身体的・精神的健康問題の重要な予測因子であることが裏付けられました。
⑪いじめ(きょうだいを含む仲間や友人からの身体への暴力や言葉の暴力被害)
⑫いじめ(仲間や友人からの孤立、拒否)
⑬危険な地域社会での居住、暴力の暴露
⑭貧困

 児童期逆境体験ACEsの項目はあわせて14になりました。ただ、それぞれの項目内容は質的にもかなり異なっており、身体的健康や精神的健康に影響及ぼす経路もまた異なっているのではないかと示唆されています。いわゆる虐待だけでなく、広く子どもの生活環境を視野に入れる必要性を訴えています。


 閑話休題。
 神戸や大波阪で干物といえば、鰯、鯵、鯖、鰈あたりですが、舌平目(ウシノシタ)も見かけることがあります。和歌山へいくと太刀魚、アイゴが加わります。アイゴはほんのり嗅ぐ磯臭さが魅力です。さらに南下するとウツボにも出会います。
 尾鷲あたりまで行くと、魚体を見たこともないシイラやマンボウ!の干物があります。シイラの干物は口に入れた時の身のほぐれ方が鯵や鯖と違ってこまかい感じです。マンボウの「こわた」を干物にします。「こわた」のとは消化管(腸?)のことだそうで、ホルモンのミノに似たこりこりとして繊維を感じる歯触りで、ほど良い塩味が大変おいしい逸品です。
         (ホンダタカシ)

2021/03/07 05:35 | 未分類trackback(0)  | top

ACEsスクリーニングの性虐待項目はワイアットWyatt(1985)の研究を参考にした

 前回の児童期逆境体験ACEsスクリーニング項目の検討を続けます。19の項目のそれぞれに解説をつけることが目的です。原稿の量をあまり増やすことのないように、との指示があるので簡単な加筆にとどめようと思います。
 前回は最初の10項目の元になった研究をご紹介しました。このなかで課題となったのは、性虐待/性暴力被害に関する項目についてです。

 スクリーニングは成人を対象としているので、はじめにこのように尋ねます。回答の仕方についてです。ルビは省略しています。

「あなたが18歳になるまでの、子どもの時の体験と家庭生活について、すこし教えてください。「はい」「いいえ」のどちらかに○をつけてください。」
雨  それぞれの項目はこのように示されます。
「3) 大人、またはあなたよりも5歳以上うえの人が、あなたにさわる、なでまわす、またはあなたにその人のからだを性的タッチさせたことが、一度でもありましたか。
または、その人が、あなたと口や肛門によるセックス、性交をしようとした、あるいは実際にしたことが一度でもありましたか。 はい・いいえ」

 
 この項目の元となったワイアットの研究にそって説明します(Wyatt, 1985)。
 「加害者の年齢」と「被害者の関わろうとする意思」に応じて虐待とみなすかどうかが決まるという考え方です。 

 虐待者/加害者は大人、または当時の回答者の年齢より5歳以上の者としています。
 被害者である子どもの観点からすると、18歳以下の子どもが自分より5歳も上の年長者に対して「拒否したいという意思」を表明するのが極めて難しいことが考えられます。直面している性的行為に関わりくないという意思、拒否したいという気持ちがあることは重要です。おどしや暴力がともなっていてもいなくても。

 また、年齢差5歳については、このスクリーニングができたアメリカでは州によって異なりますが、この年齢差を性犯罪の要件のひとつとしていることによるかと思います。
 
 では、4歳以下の年齢差ならどうか。やはり重要なのは、被害者本人の意思や気持ちです。その子ども(被害者)に関わりたくない、あるいは関わりたくなかった/嫌だったという意思や気持ちがあれば、年齢差が4歳であってもその経験は虐待と見なします。

 被害者が12歳以下であれば、「子どもは自分が何に同意しているのかを理解しておらず、権威者にノーと言う自由がない」(Wyatt, 1985, p.511)という理由で虐待として見なすべきだと思います。


 「関わろうとする意思」は見方を変えれば、いわゆる「同意」ともいえます。かって私たちが翻訳刊行した性問題行動を対象としたワークブック「フットプリント」では、同意について、以下のように説明し理解するよう求めます。ルビは省略しています。(Hansen & Kahn,  2012 本多・伊庭 2015, pp.54-55)
1.パートナーは、あなたの年齢とおなじくらいでなければいけません。
2.パートナーは、これからおこることを、きちんとわかっていなければなりません。
3.パートナーは、「いや」といえる権利を、かならずもっています。
4.パートナーが、「いいよ」といわなければいけません。
 

 このスクリーニングの性虐待は、児童虐待と性犯罪にまたがったとらえかたをしています。したがって、日本の児童虐待についての見方とはかなり異なっています。一方で,司法の領域では性犯罪に対する検討としてさまざまに議論されています。(性暴力と刑事司法(2014);法務省HPなど)
 なおこの項目の内容には、見せつける、とか暴露するという接触のない性虐待/性暴力被害が含まれていません。この点は課題です。


 ワイアットは、アフロアメリカ人女性と白人アメリカ人女性の児童期の性虐待について、ロサンぜルスでインタビュー調査を行いました。それぞれの18~36 歳を対象に、人口比、学歴、配偶者や子どもの有無などの影響が出ないようサンプリングされました。実際にはアフロ・アメリカ人女性126人、白人アメリカ人女性122人が対象になり、そのうちの前者では57%、後者では67%に虐待被害が認められました。ただし、統計上の有意差は認められませんでした。

 加害者、加害者との関係、場所など興味深い結果が多数報告されていますが、そのなかで目がとまったのは、
白人アメリカ人女性は幼児期(6~8年)に、一方アフロ系アメリカ人女性は思春期前(9~12年)に虐待が多かったこと、加害者からの被害者への心理的な強要があったのは約10%に過ぎないこと。残りの15%は加害者がゲームとみせかけて始まり虐待に至ったものだったこと、などです。



DL103.jpeg MCカートリッジを買ったので、中古レコード店に行くことが多くなりました。古いビルの二階や奥にある店は、入り口から主役はオレだといわんばかりにレコードが山のように積まれています。店のなかでは横ばい歩きしかできず、レコードの品定めに夢中なお客もいらっしすれ違うのは至難です。昔のジャズ喫茶に似た一途な匂いが漂っています。理由ははっきりしませんが男性客ばかりです。

項目の翻訳は以下;
(研究代表者)(2016) 児童虐待の被害を測定する国際的調査票の日本語版の作成 科学研究費助成事業  研究成果報告書 Retrieved from  https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24790625/ (January 9, 2018)(著者の承諾を得て一部改変)

Wyatt, G. E. (1985). The Sexual Abuse of Afro-American and White-American Women in Childhood. Child Abuse & Neglect. Vol. 9, Issue 4, 1985, Pages 507-519.

Hansen, K. & Kahn, T.J. (2012).  Footprints: Steps to a Healthy Life. Second Edition. Safer Society Foundation, Inc
(ハンセン, K・カーン, T. J.  本多隆司・伊庭千惠(監訳)(2015).  性問題行動のある知的障害者のための16ステップ:「フットプリント」心理教育ワークブック第2版 明石書店)

大阪弁護士会人権擁護委員会 性暴力被害検討プロジェクトチーム(2014) 性暴力と刑事司法 信山社

法務省 性犯罪に関する刑事法検討会  Retrieved from http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00020.html (Mar. 1, 2021)
 
        (ホンダタカシ)


2021/03/04 07:27 | 未分類trackback(0)  | top

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