種智院大学 よいこの社会福祉学
京都にある種智院大学社会福祉学科の教員が日替わりでつぶやくブログです
イクメン小説『なずな』
今回は最近、読んで感銘を受けた小説を紹介します。

堀江敏幸さんが書かれた『なずな』という小説です。帯に「イクメン小説」と書かれていたのにひかれ、手に取りました。


なずななずな
(2011/05/02)
堀江 敏幸

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主人公は40代の独身男性。弟夫婦の2ヶ月の娘をひょんなことから預かることになりました。男性と赤ちゃんが過ごす、大きな事件が起こるわけではない日常を淡々と描いています。

主人公は子どもを育てたことがありません。ですので、ミルクをあたためる鍋を焦がしたり、おむつを替えるときにおしっこをかけられたり、また、夜泣きにも悩まされます。そして、ローカル新聞の記者という仕事もままなりません。しかし、次第に赤ちゃんとの時間に充実感を感じていきます。

この男性は突然、父親役を担うことになったのですが、世の中の多くの父親も感覚的には似たようなものではないかと思います。僕もそうでした。そして、母親もそうかもしれません。母親だからといっても、それまでに赤ちゃんを育てる経験をしている人はごく少数なのですから。

親として子どもを育てることでこの世界は変わっていきます。主人公はその変化をとまどいつつも楽しんでいます。少し引用します。

子どものをひとり連れて歩くだけで、慣れ親しんだ空間把握の基準点がずれてくる。なずなが来てから、それを何度確認したことだろう。目線が下がり、五分の距離が三十分になり、一メートルの高さが五メートルにも感じられる。子供の感覚をつねに想像し、それにシンクロしていくことで、人生をもう一度生き直している気さえしてくるのだ。


変化を楽しめるかどうか。個々人の感じ方もありますが、やはり、楽しめるだけの環境を地域や社会が親に用意できているのかどうかが大きいように思います。主人公の周りの人々はあたたかく見守り、手助けしてくれます。

ついつい忘れがちな、子どもを育てることの喜びを思い起こさせてくれると同時に、子育て支援への大切なヒントをもらった一冊です。

近棟 健二
京都の資源???お探し中
 「精神保健福祉士実習」

 本日は、4年生の「実習事前学習」の様子をお知らせします。

 こんなん?資源ちやうの?? と京都の精神障がい者の方が使える資源を探し中です。

 わいわいみんなで地図を作成しています。

 あとで、1人1人が行く施設の資源MAP 作りををしてもらいますよ。学生:「はい、はい(笑)」

 6月にはN君の実習先のイベントに皆で見学にいきます。学生:「オリエンテーションのさらに事前お願い?(笑)」

 7月には、いよいよ目標を決め8月から実習にGO!です。

 楽しく、乗り切りましよう。(真柄 希里穂)

0516

『マルタの鷹』精読
Hammet.jpg  6日日曜日の朝日新聞書評で逢坂剛がとりあげていますが、諏訪部浩一(著)「『マルタの鷹』講義」(研究社)を読んで感心し、ダシール・ハメット(作)『マルタの鷹』を読み始めました。「『マルタの鷹』講義」の巻末には詳細な語註がついているのでVintage Crime/Black Lizard版と、参考書として小鷹信光(訳)ハヤカワ文庫を買いました。スピードアップ?のためです。

  「『マルタの鷹』講義」は1章ずつ、表現や時代性、物語の成り立ちなどが詳細に論じられています。これまでミステリイを読めばプロットを追うことに気をとられ、表現や成り立ちには全く関心をもたなかったことに気づきました。

 本書に導かれて『マルタの鷹』を丹念に読むと、いろいろことを発見します。

 第一章。私立探偵サム・スペードに、ワンダリーと名乗る美女がサーズビーという男と駆け落ちした妹を取り戻したいと依頼します。そこへ相棒のアーチャーがやってきましたHammet2.jpeg
 有名な第2章の冒頭はこうです。「暗闇で電話が鳴った。三度鳴って、ベッドがきしんだ。小さな硬いものがカーペットにごろんと落ちた。ベッドがまたきしんで、男の声がした。」

 「男の声がした」という原文は、a man's voice said です。誰だか分からないけれど存在感のある男が耳元で話しかけている、「男の声がした」よりは英文の方が少し強いイメージです。
 続いて原文では、“Hellow...Yes, speaking....Dead?....Yes....Fifteen minutes. Thanks"です。英文では少々意味不明ですが、小鷹信光訳はこうです「やあ・・ああ、おれだ・・死んだって・・わかった・・15分くれ。じゃあ」単語の選択が適確なこなれた翻訳です。

 電話の内容も、小さな硬いものも分からないけれど、深夜のベッドまわりの情景であることは分かります。ちょうど映画の1シーンのように。
 監督ジョン・ヒューストン、ハンフリー・ボガードがサム・スペードを演じている1941年の映画では、ベッド脇のテーブルにカメラが固定され、いきなり電話の受話器をつかみ、電話の男の声が小さく響きます。受話器をおくHammet3.jpegとカメラが引いて明かりがともり、ハンフリー・ボガードの横顔がフレームに入ります。場所を聞きところは原文にはありませんが、風に揺れるカーテン、テーブルの本、時計、煙草は原作通りです。

 この電話は、スペードの相棒アーチャーが撃たれて死んだことを知らせるものでした。それが明かされるは2頁ほど先です。
 そんな電話をうけて、スペードはどう思ったかには一切触れられず、この電話の後、スペードの太い指は丹念に煙草を巻き始めます。すぐに駆けつけるのではなく15分後です。内面よりも行動を、情緒的であることよりも冷徹さを、登場人物あるいは作者の主観ではなく客観描写に徹したハードボイルド小説そのものの表現です。

 ちなみに、小さく硬いものはライターで、それが分かるのもすこし先です。スペードの体格や年齢、題名であるマルタの鷹の説明など、細かな点が小出しにされるのもこの小説の特徴です。すぐに分るのは、スペードが女性に弱いところくらいでしょうか。

 文庫本片手に、参考書をながめ、ときどき映画のDVDを見ながら精読、というより耽読するのもミステリイの楽しみのひとつです。ようやくマルタの鷹の話を出したカイロが、スペードにのされた第5章にたどり着いたところです。(小鷹信光(著)「アメリカ・ハードボイルド紀行 ーマイ・ロスト・ハイウエイ」研究社 も参考にしました。)   (本多隆司)



東海道53次を歩いた!?
 平成23年10月4日(火)に「大坂」を出発し、さる4月29日(日)、約7カ月近くかかって江戸は「日本橋」に到着した。

 といっても実際に東海道をテクテクと歩いていったわけではない。散歩している歩数を大坂から日本橋まで、東海道五十三次の地図上に1マスずつ塗りつぶし80万歩557㎞を達成したのである。

                    (東海道53次の地図)
縮小版 53次マップ

 東海道五十三次の地図は、楽しく歩く運動習慣を身につけ、生活習慣病の予防を図るために豊中市が配布している「とよなか百万歩ウォーク 東海道五十三次を歩こう」という記録用紙である。1面は毎日の歩数を書き込むようになっている。2面は、その歩数を「東海道五十三次」の地図のマス目に塗りつぶすようになっている。散歩した成果(歩数)が東海道53次という地図に表され、目標を一歩一歩達成していく感じがして結構楽しいものである。

                       (東海道53次の歩数記録用紙)
                  縮小版 53次記録用紙

 今度はもうひとつのコース「歩いて健康 山陽道お城めぐり」(記録用紙)をいただいたので、明日からは「山陽道」(大阪~下関520.3㎞)に挑戦だ。

 今回の「五十三次」は、散歩道でときどき挨拶を交わす87歳の男性からたまたまいただいたものである。この男性、もう何枚もの「五十三次」や「山陽道」を踏破しているという。またアイデアマンでもある。「今度は『温泉巡り』を作ってはどうか」と豊中市に提案したが「予算の関係上できない」というようなわけのわからない答えが返ってきてあきらめたという。おもしろい提案ではないか。是非作ってほしいものである。

                   (歩いて健康 山陽道お城めぐり)
                   縮小版 山陽道

                                            (明石隆行)

言葉と表現

あれ?GWで曜日がわからなくなりました。順番間違いの真柄です。

GWは、1ケ月ぶりに東京へ帰りましたが人混みが辛くて昨晩京都に戻ってきました。(^^)

本日は、新宿でふらっと入った「森村泰昌氏を撮った写真展」の事を書きます。

森村氏は、京都の芸術家で色々な人に自分が変身して作品を創ります。その過程を撮ったのが今回の写真展です。

やや複雑ですね。

「何かを語れなくなったと時に、叫びたいと思うことがある。それに人から「あなたはこういう人」と決められ
て、もうそれしかな成れない時に孤独を感じる」と森村氏は以前語っていました。
だから、妊娠を称して何ケ月もかけて自己改造するのかもしれません。

ペルソナ(仮面)の肉体版表現者だと思います。私は、圧倒されて見入ってしまいました。

それから作品を観ながら、統合失調症の人の昔からよく知られている「言語新作」を思い出しました。

言語新作とは、ご本人しかわからない言葉でありながら人に説明もなく使うことです。
統合失調症の方は「ピピッピだよ、ほら」と実感こめてお話されます。
でも、私たちにわからない表現の中に大切な意味があるかもしれません。主体がそこにあるからです。

昨年精神病院に見学学習に行った学生さんに感想を聞くと「静か~。患者さん大人しい」とのこと。
森村さんの作品を観ながら、「静かなのは、森村さんのように言葉を語れないと思ったのかも?」
とじわじわと考えていました。来週の実習のゼミで皆さんと議論したいと思います。







運営委員会方式による地域子育て支援拠点事業
今回は、前回のエントリーでお伝えしました講演会でおじゃました子育て支援団体「ゆったりーの」のユニークな取り組みを紹介します。

「子育て中の親子が気軽に集い、相互交流や子育ての不安・悩みを相談できる場」として地域子育て支援拠点事業が全国で展開されています。「ゆったりーの」でも同様の事業(ひろば型)を新宿区から委託を受け行っています。

新宿というと高層ビルのイメージがありますが、「ゆったりーの」は閑静な住宅街にあります。


もともとは保育園だったところなので、庭で外遊びも出来ます。ウッドデッキも気持ちよさそうでした。


室内も広々としていて名前の通り、ゆったりしています。


カウンターキッチンもあって、利用者が調理することも出来るそうです。


ゆったり出来る場所を作られているというだけでも素晴らしいのですが、こちらがユニークなのはその運営にあります。

保育園が廃園になるにあたり、保護者を中心とした地域住民で活用方法や運営についてワークショップ方式で話し合いがもたれたそうです。その結果、区が施設の提供と活動の支援を行い、区民が運営するという形で現在の施設がオープンしたとのこと。現在も利用者、スタッフが会員となり、運営委員会方式で運営されています。

全国でおよそ二千ヶ所の地域子育て拠点事業(ひろば型)が実施されていますが、運営主体の内訳を見ると市町村直営、社会福祉法人がそれぞれおよそ3割、NPOが2割となっています。このような地域住民による運営委員会方式は非常に珍しいと思います。

様々な意見を調整し、運営をしていく地域住民の皆さんの奮闘は敬服に値します。それと同様に法人格など形に重きをおきがちな行政が多い中、このような形で事業を委託し、応援している新宿区の試みはこれからの行政のあり方を考える上で重要ではないかと思います。

近棟 健二
徒然なるままに・・・・
GWに突入しました。
前回久々に登場してから、2回目にして早くもローテーションを乱してしまいました。
仕事の合間を縫って2週間に1度定期的にブログ記事をアップするのは しんどい作業です。
ブログ完全復帰には、まだ少々リハビリが必要なようです。

そこで、Weblog(ウェブログ)の本義に立ち返って、ここ2週間ほどの大学絡みの出来事を日記風に綴ってみたいと思います。

4月17日(火) 学園加行成満祝賀会
本学では夏休みと春休みを利用して真言宗僧侶の資格を得ようとする学生さんの修行の機会を設けています。昨年度は3人の学生が無事に成満(じょうまん・完了すること)しました。
加行

3月に成満していたのですが、学長や指導に当たった先生方をはじめ、現場監督を勤めたOBたち も含めて全員で年度をまたいでお祝いの会をしました。
将来、僧侶として羽ばたいてもらいたいと思います。

4月19日(木) 親睦会
本学には教職員の親睦会という組織があり、年に2回ほど親睦の宴席が開催されます。
この日がそれにあたり、夕刻より伏見の清和荘(昔、阪神タイガースの京都の常宿になっていたことで有名)で行われました。
3月いっぱいで特任教授となられた本多先生の壮行と4月から特任講師としてお迎えした真柄先生の歓迎も兼ねての開催でした。

4月21日(土) BBQ大会
学生自治会主催のバーベキュー大会が開催されました。新入生歓迎の意味で上級生が主催するもので、ここ数年の恒例となっています。当日は昼の12時頃から学生食堂脇の屋外で15名ほどが参加して行われました。
晴天に恵まれ、仏教学科のスダン先生や職員さんたちが参加し、私も牛肉を差し入れを兼ねて参加いたしました。
みんな食欲旺盛で10㎏近くあったお肉も完食とのことでした。・・・あっぱれです。

4月25日(水)般若寺文殊会式
これは大学関係ではなく、私の個人的な寺院関係の所用なのですが、奈良市にある般若寺さんの一年に一度の大祭である文殊会式に参列出仕してきました。25日はご本尊の文殊菩薩の縁日で、例年4月に大祭を行われ、私も都合がゆるす限り毎年参加しています。
「文殊経」(正しくは「仏説文殊師利般涅槃経」)によると、文殊菩薩は貧窮・孤独・苦悩の衆生の姿となって信仰者の前に現われると説かれています。つまり、この世で福祉対象となるようなハンデイキャップをもたれた人々は文殊菩薩の化身であり、その人たちを手厚く処遇することが文殊信仰につながるということから、古来、仏教における福祉救済実践の一つの大きな根拠となってきました。
当日はヤマブキが満開で、仏教福祉実践の歴史に思いを馳せながら読経してきました。
ちなみに、今年結婚した般若寺若住職の顕任君(住職のご子息で、元プロボクサーでもある)も 本学卒業生です。

4月29日(日) オープンキャンパス
今年度の最初の本学オープンキャンパスがあり、GWに入った日曜日でしたが出勤いたしました。
今年は入試広報部に所属していますので、入試にむけてのオープンキャンパスにはできる限り参加することになります。
当日は、社会福祉学科長の明石先生と2階の介護実習室に陣取ってプロジェクターを用いながら社会福祉学科の説明をいたしました。明石先生は時間差ジャンケンの体験実践をされてました。参加された方は保護者父兄をあわせてのべ30名弱であったとのことです。
次年度も社会福祉学科にもたくさんの学生さんに入学してもらえたらと思い居ります。
ちなみに次回は6月17日(日)に開催されます。たくさんの方のご来訪をお待ちしています。

以上、徒然なるダイアリーでした。

合掌(^∧^)

佐伯 俊源

「生命のメッセージ展」へ行きました
 東京都日野市百草にある『生命のメッセージ展』http://www.inochL2.jpgi-message.com/に行きました。ここは、殺人、悪質な自動車運転、いじめ、医療過誤などによって理不尽にも命をうばわれた人びとの生命を伝える展示場です。NPO法人「いのちのミュージアム」がやっておられます。

 白色の人型はその人の等身大の大きさで、メッセンジャーとよばれています。その下には愛用の靴が置かれています。小さな赤ちゃんもいれば、私と同年代の方もいらっしゃいます。最も輝いていた時の写真やメッセージが添えられていT1.jpgます。

 別の部屋にはカラフルな時計、モノクロの時計が棚をうめつくすように展示されています。長針も短針もなく、ただ秒針だけが永遠とも思える時間を刻み続けています。
 この部屋は時の音にあふれています。最も印象的な展示でした。

 こちらにお邪魔したのは、先にお伝えしたように加害者に対して被害と被害者を考えるワークを制作したのが、その理由です。さまざまな方の思い、怒り、自責などがひしひしと寄せてきます。こちらの団体も矯正教育S4_20120422205747.jpgにたずさわっておられます。自殺、虐待、自然災害などによる犠牲者にも取り組んでおられます。

 日野市は東京都ではかなり西の方で、私鉄京王線をS1.jpg利用します。「百草」はモグサと読み、ヤイト(知っているかな?)に使うあれです。 廃校になった百草台小学校を利用されています。ときおり鳥の声が聞かれ、校庭の桃が満開でした。

 今年は、再度京都でも巡回展示をされるそうです。できれば、学生と訪れたいと思います。帰りの不慣れな道でウロウロしている私を乗せて、団体の方々が高幡不動駅まで送ってくださいました。感謝。(本多隆司)
 


人を助けるプロフェッショナルがミステリー小説に
 「ツン読」、つまり買ったままで読まずに机に置いたままになっている中からミステリー短編集の『傍聞き』(長岡弘樹 双葉文庫)を紹介する。
 まずはクイズをひとつ。短編集はミステリーでは珍しく、自分を犠牲にしても他人を助けるプロフェッショナルを主人公にとりあげている。さて、そのプロフェッショナルとは?
                     縮小版 傍聞き

 また4編の作品につけられたユニークなタイトルが目を引く。第1編が書名にもなっている『傍聞き』である。ちょっと読めない。「傍」は、「そば」とか「かたわら」であるが、この場合「かたえぎき」と読ませている。耳慣れない言葉である。「かたわらにいて、人の会話を聞くともなしに聞くこと」で、「どうしても信じさせたい情報は、別の人に喋って、それを聞かせるのがコツ」だという。つまり「別の人に喋った話のほうが相手から直接伝えられた言葉よりも信用されやすい漏れ聞き効果」のことを意味している。女性刑事である母と、母への報復のため収監中の男から命を狙われるかもしれないその小学校6年生の娘の不可解な行動、収監中の男に「居空き(いあき)」に入られたすぐ近くに住む高齢の女性をめぐって「傍聞き」は展開する。

 第2編は、急病人を搬送中の救急車が到着した病院の駐車場に到着するが、なぜか隊長の命令で逆戻りしそのまま町中を「迷走」する。救急救命士の現場を描いた作品である。
 第3編は、知り合いの女性宅の火災現場で赤ちゃんを救出しようとした消防士の予想外の行動、「899」である。

 最後は「迷い箱」である。タイトルからしてなにかミステリアスな感じを抱かせる。この作品は更生保護施設の女性施設長が主人公である。更生保護施設がミステリー小説の舞台になったことに驚く。
 更生保護施設は刑務所を出所した元受刑者に、住む場所と食事を提供し、さらには社会復帰へ向け、就職や生活に関する指導も行う施設である。社会福祉協議会の構成メンバーとしても社会福祉法に位置づけられている。その源は明治時代にさかのぼる。
 55歳の前科のある者にはなかなか仕事は見つからない。そうしたなか、施設長が幼馴染に頼んでやっと寮のある工場に就職することができた。しかし彼は歓迎会の途中で姿を消す。

 著者の長岡氏は「あとがき」で「取材は嫌いで、作品に出てくる人間の行動やその職業ならではの出来事を想像するほうに時間をかける」と述べている。だが読んでいると想像だけではないだろうと思った。「更生保護施設」以外にも、「ホームレス」「認知症」「(児童)虐待」「(救急患者の)たらい回し」が4編の背景になっており、社会福祉のフィールドにかなり精通しているように思うからである。他の作品も読んでみたい気にさせる。

※プロフェッショナルとは、刑事、救急救命士、消防士、更生保護施設の施設長である。
※「899」は「ハチ・キュー・キュー」と読む。「迷い箱」の意味も作品をご覧あれ。
※「居空き(いあき)」とは、「空き巣」が人がいない家を狙うのに対して、人がいる家に入り込む手口のこと。

 先日、京都へ花見にでかけた。京都御所から出町に出て、加茂川をさかのぼり、府立植物園横の「半(なからぎ)の道」までの2.5㎞の桜並木を満喫した。3か所の桜が同じ時期に満開を迎えるのは珍しいことではないか。写真にはほとんど人が写っていないのがおわかりか。桜の名所は穴場中の穴場なので、皆さんだけにご紹介するのであってくれぐれも他言はご無用に。

(京都御所近衛邸跡の枝垂れ桜)
縮小版 御所の枝垂れ桜  縮小版 加茂川のソメイヨシノ
                                           (加茂川のソメイヨシノのトンネル)
        (半の道 800m続く紅枝垂れは圧巻)
      縮小版 半の道の紅枝垂れ
(加茂川の堤防に咲いていた可憐な「花ニラ」)縮小版 花にら


(明石隆行)

子育て支援者養成講座
砂脇先生と同じく、久々のエントリーです。

先日、東京新宿区の子育て支援団体「ゆったりーの」さん主催の子育て支援者養成講座でお話しをしてきました。大学のブログでも紹介してもらった「全国子育てひろば実践交流セミナー」での講演をお聞きになり、お招きいただきました。ありがとうございます。

「それぞれの立場で関わる子育て支援」というお題を頂き、前半は地域における子育て支援の意義や多様な支援者による子育て支援のポイントなどをお話ししました。

後半は「気になる子育て家庭」ワークショップを行いました。


まずは個人で日頃の活動で「気になる子育て家庭」を書き出します。


グループで話し合い、似たものを集めたり、新しい項目を追加して図を作成します。出来上がったら他のグループの図を見学。

これらのワークをもとにディスカッションすることで、自分自身の感じ方の傾向や他の支援者の考え方を知ってもらったり、感じ方・考え方の背景にあるものを考察してもらいます。

昨年の秋から6ヶ所でこのワークショップを行っていますが、いろいろな気づきが見られます。昨日は「お母さんに関する項目ばかり」「親の行動に目が行きがちだけどその背景を見ないといけない」などが発表されました。日頃、感じていることを書いて、話すことで掘り下げることが出来るのだと思います。

最後にまとめとして、多様な支援者による子育て支援で求められる心得と子育て家庭を主体とした視点を持つ重要性をお話ししました。

このワークショップ形式の講演は引き続き、やっていきたいなと思っていますので、ご興味ある方があれば大学までご一報下さい!

近棟 健二