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猫熊/華燭の宴

「小説を読む楽しみの一つは、単に話の筋を追っていくのではなく、言葉が次の言葉
猫熊
を紡ぎだしていく、その連鎖反応を、いわば言葉という生き物の、紙の上での生成過程を味わい尽くすところにある。」
 読み手のプロ、坪内祐三さんです。読んでいるときのワクワク感までがじょうずに表現されているなあ。坪内祐三『シブい本』文藝春秋社(平成9年)。あまり知られていない文字どおりシブい本ばかり紹介されています。
 この本に水木しげる『猫楠 ー南方熊楠の生涯ー』角川文庫(平成8年)が取り上げられていました。
熊楠は、自分が思ったように生活に突きすすみ、躍動感のある巨大な子どものようだと言われます。そんな熊楠に対して「幸福ってなんだろう」と考えることを趣味とする猫熊がチクチクと話を進めます。十数語Wed1.jpgの言語をあやつる猫好きの熊楠は猫語も(幽霊語も!)できたらしい。
 粘菌を中心に自然界(や霊界)の研究に没頭した熊楠の生涯、「有限である人生でどれほど幸福でありえたか」を猫熊が考察します。 

   過日、新郎新婦の友人がたくさん参加される晴れやかな結婚式に参列しました。新郎はWed2.jpg卒業生です。宴ではたくさんのスライドショウが披露されました。新郎の勤務する福祉事業所の職員さんたちが次々に登場してご挨拶されたスライドは、障害者施設の紹介としても楽しめるものでした。また新郎の大学時代の行事の場面などいくつかのエピソードも映し出されました。懐かしいシーンです。列席した友人たちもほと んどが新郎の同級生、つまり私が10年ほど前に教えた学生です。顔は覚えていましたが、うーん名前が出てこない。ごめんなさい。蛇足ながら、新郎新婦は犬好きです。
     (ホンダタカシ)

2018/11/06 08:09 | 未分類trackback(0)  | top

エース・ピラミッド

 児童期逆境体験ACEsが、その後の人生で身体的にも心理的にも強い影響をあたえ続けることはこれまで繰り返したとおりです。児童期逆境体験ACEsとは児童虐待と家庭内での暴力の暴露や問題飲酒など家庭の機能不全をさします。

 児童期逆境体験 ACEsが段階的に影響をあたえ続けていることを図で示したものがエース・ピラミッドです。エース・ピラミッドはCDCのホームページhttps://www.cdc.gov/violenceprevention/acestudy/about.html、その元となったFelittiらの論文にも図2(Felitti et al., 1998, p.256, Figure 2)として示さAce Pyramidれています。


 「児童期逆境体験s」のピラミッドは、「これが疾病に対してどれほど強く関係しているかを明らかにしたもの」です(CDC)。子ども時代のつらかった逆境体験に対して、対処できずにただ目と耳をふさぐだけ、逃げ出すか耐えずビクビクするほかなく、また誰からもケアや援助がない状態では少しづつ心身に悪い影響をあたえ続けます。末尾のsは複数であることを示します。以下も同じです。

 研究が進められている領域のようですが、脳神経のネットワーク化など神経の発達が盛んな子ども時代にはトラウマの影響は見逃すことができないといわれています。児童期逆境体験は「神経発達」を妨害します。ただし、この領域はFelittiらの論文にはありません。

 
 人づきあいがしんどくなって友人が減る、何をやってもうまくいかないと自信をなくし、思い出したくもないのに突然その時の嫌な記憶が頭に浮かぶ、などが「社会的・心理的・認知的(機能)障害impairment」です。

 さらに進むと、喫煙、アルコール、違法薬物などを使用し、「健康を害するリスク」が高まります。リスクある行動を増やすことで、エースで生じた不快感や不全感に対して一時的にせよ無感覚になろうとしているのかもしれません。

 その後、病気にかかる、いろいろな実行する能力が障害されdisability、社会での問題に発展しかねません。反社会的な行動をした人に児童期逆境体験が多いとの指摘があります。



 その結末は「早すぎる死」です。つまり、児童期逆境体験は主要な死因に結びついていると指摘されます。活動や活躍の期間を短縮し、心身の健康を阻害する社会的な損失です。その意味でも児童期逆境体験ACEsの予防は喫緊の課題です。

Felitti, V. J.,  Anda, R. F., Nordenberg, D., Williamson, D.
F., Spitz, A. M., Edwards, V., Koss, M. P.,&  Marks, J. S.(1998). Relationship of Childhood
Abuse and Household Dysfunction to Many of the Leading Causes of Death in
Adults.  The Adverse Childhood
Experiences (ACE) Study.
American Journal of Preventive Medicine. Volume 14, Number 4,
pp. 245-258.

阿尾日記祭礼3

 夕方に波止場で鯵釣りをしていると、私の後に白と茶の小柄な猫がじっとすわっています。猫の視線に負けて、たまらずに釣れた鯖を投げるとはやわざで鯖をくわえて走りました。そこへトンビが急降下。鯖をくわえた猫がトラックの下に潜り込み、セーフ。

 庭の金木犀の根元がかなり掘り返されていました。蟹のいたずらにしては大がかりだし、人間のしては中途半端です。墓参りのために通りがかった大家さんに尋ねるとあらい熊ちゃうか、と。おー、ラスカル。でもイメージとは違ってどう猛で危険らしいです。この金木犀は大きくなりすぎて剪定され、今年は花がつかないようです。すこし残念です。


  10月になって久しぶりの快晴でした。祭りの登りや灯台が映える青です。

 カメラをぶら下げてうろうろしていると年配の方に呼び止められました。昔は祭事を撮る日ノ御埼灯台カメラマンも多く来たそうですが、最近では人が減ったのでお祭りがさびしくなったそうです。その方は、今のここの高齢化率は◯◯%で、世帯数もカクカクまで落ちたと、数字をまじえて詳しく説明して下さいます。港近くで会った女性も同じように数字をもとに説明されました。 具体的で説得力があります。ここの高齢者は数字にめっぽう強い。私は教える側なのに覚えていません。それこそ「ボーッと生きてんじゃねーよ」と言われそうです。



 日ノ御埼灯台へ向かう海沿いの道は、台風のためかガードレールが流され?、曲がり!、岩や流木が散乱していました。風力発電機は支柱の真ん中で半分に折れています。


 まあるい水平線の向こうに徳島と淡路島が遠望できます。      (ホンダタカシ)

2018/10/14 11:14 | 未分類trackback(0)  | top

箱庭体験

SSTにて箱庭体験を実施しました。
昨年から箱庭をしたいと学生さんより希望がありました。1年かかったけど教職員、学生さんのみんなの力で箱庭を作りました。
箱庭の箱を作ってくれた学生さん、フィギュアをもらいに先生の研究室に声かけする学生さんなど。
一人一人の力ではできなくてもみんなの力で大きな力になることの証明ですね。
楽しく箱庭体験を行いましたが砂のサラサラに癒されることも知りました。
これから箱庭体験ではなく当校では箱庭療法ができるようになりました。
カウンセラーさんのアイテムが増えることでSSTをこえて学生さんの役に立つことになります。
「おっちゃんの夢」と題して箱庭体験した作品です。
学生さんからはブログ掲載許可を得ています。

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(正井佳純)

2018/10/12 14:09 | 未分類trackback(0)  | top

児童期逆境体験ACEスクリーニングの導入:第37回心理臨床学会でのポスター発表

  台風による暴風、豪雨、高潮、それに地震などが私たちの日常をおびやかしています。あたりまえに生活することがこんなにも大変だったか。
心理臨床学会
 猛暑といわれた8月末から9月にかけて神戸で第37回の心理臨床学会が開かれました。このブログでも何度かご紹介している児童期逆境体験ACEスクリーニングの紹介と試行に関する発表をしました。

「性問題行動の心理支援/生活支援への児童期逆境体験ACEスクリーニングの導入 -トラウマ・インフォームド・ケアTICに向けて-」 

 児童期逆境体験ACEに対する質問項目は、オリジナルの米国のCenter for Disease Control(CDC)による児童虐待と家庭機能不全からなる10項目をもとに、Levensonnら(2017)によっていじめや差別など8項目が追加され、さらにわれわれが自然災害の項目を追加して、全19項目としています。

 これまでわれわれは性加害者を対象にセラピー/心理的支援と生活支援を未成年者や知的障害児者などを対象に実践してきましたが、そのプロセスで大きな課題となったのが児童期逆境体験ACEsでした。この被害体験は本人の考え方や感情などに強い影響を与え続けており、加害行為の直接の原因ではなかったにせよ、その準備状態を形成したのではないかと考えました。したがって、今回発表した児童期逆境体験ACEのスクリーニング質問紙は、知的/発達障害者児者への実施を前提にしています。
 また、知的/発達障害者とトラウマの関係、とりわけ彼らに生じたトラウマに関連した症状や問題に対してどのように考え支援するかを論じたものが極めて少ないことから、副題にあるようにそのアプローチとしてトラウマ・インフオームド・ケアに触れています。発表では加害行為からアプローチしましたが、実のところ知的/発達障害者児者の支援全体に関わる課題です。

 これらの特徴に着目され、実際に使用したいというご希望もいくつか頂きいました。

 研究者、児童相談所など相談機関、児童養護施設や児童心理治療施設などの児童施設だけでなく、警察や保護観察所の被害者担当、自衛隊に勤務している心理専門家が来られました 。いずれの機関もトラウマに強く関連しており、そこで心理的支援の業務に携わっておられる専門家です。
     (ホンダタカシ)

2018/09/14 08:55 | 未分類trackback(0)  | top

障害者虐待はまん延しているのではないか

  障害者のトラウマや逆境体験に関する文献を探していると2012年のアメリカでの調査結果がありました。
Baladerian, N. J., Coleman, T. F., & Stream, J.(2013).  Abuse of People with Disabilities.  Victims and Their Families Speak Out - A Report on the 2012 National Survey on Abuse of People with Disabilities-  Spectrum Institute Disability and Abuse Project. Retrieve from http://www.disabilityandabuse.org (August 25, 2018)
玄関ホール
(バラデリアン, N. J., コールマン, T. F., ストリーム, J. (2013). 障害者虐待 被害者とその家族の主張 ー2012年障害者虐待に関する全米調査ー)(仮訳;著者名の読み方は未確認)
  この調査はインターネットを通じて行われ、障害者当事者はもちろんのこと、その家族や支援者も参加しています。支援者には直接のサービス提供者、ソーシアルワーカーや司法関係者なども含まれています。
 
 回答した障害者のうち70%余(958人/1364人)が被虐待体験があったと報告しました。同様に家族では63%(1431人/2249人)でした。7割前後とはかなり高率です。著者らが言うように、コントロール群を用いるなど統計的には十分とはいえないため、結果の数字をそのまま一般化するには慎重さが必要かもしれません。しかし、タイトルにあるように被害を受けた障害のある人とその家族の主張speak outを聞くことが重要です。
 私たちの2007年の知的障害者を中心とした調査では26.6%(173人/650人)でした(川口 他, 2007)。アメリカの調査に比べ母数が異なり率も低いですが、それでも全体の1/4です。障害者虐待は思いのほ木々か広がっているのではないかと思える結果です。

 さらに驚くべき数字があります。被虐待体験のあった障害者のうち、2/3(62.7%)は通報しなかったのです。ただし、家族が関与すればその率は幾分低下します。でも、身体的虐待(暴力)被害者の40%、性的虐待被害者の41%強は通報していません。ここでの通報先は、警察や保護サービスとなっており、日本では行政機関(市町村福祉事務所)や警察が相当するようです。
 では、なぜ通報しないのか。通報してもなんら変わらない、無駄だ、との回答が58%です。怖い、恐ろしいとの回答が38%、どこへどうやって通報していいのかわからないとの回答が33%です。虐待の被害者やその家族や支援者への情報提供不足を指摘することが多いようですが、それ以前に、通報しても意味がないとの無力感やあきらめが先にあるとの調査結果です。虐待への対応に関しては、支援の内容やその実施機関への信頼が実に薄いのです。
 こうしたことを考えれば、公表される被虐待者数の背後にも多数の被害者が支援を待っているはずです。
 障害者雇用者数の水増し問題が連日報道されています 。これ以上支援を求める障害のある人の信頼感をくだき、無力へ追いやることがあってはなりません。

川口敦子・松澤知子・細田陽子・陳愛玲・伊庭千惠・隈部一彦・福嶋裕美・本多隆司(2007).  反社会的行動のある知的障害者への支援ーその1被虐待体験との関連性の検討ー  日本心理臨床学会  第26回大会
       (ホンダタカシ)

2018/08/25 17:43 | 未分類trackback(0)  | top

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