京都ライトハウスを見学しました。

 授業として学生と千本北大路にある「京都ライトハウス」http://www.kyoto-lighthouse.or.jp/を見学しました。点字図書館や点訳音訳、読み書きサービス、視覚障害幼児向けの親子教室、移動などの自立訓練を行う視覚障害の専門施設ですが、就労移京都ライトハウス行支援、就労継続支援B型の事業所であるFSトモニーも併設された総合的な福祉施設です。



 全盲の当事者の方から視覚障害者の日常生活のご説明とライトハウスの館内を案内していただきました。興味深い話がたくさんライトハウスパンフレットありました。

 視覚障害者=全盲と思う人が多いですが、実は「見えない人」だけでなく、弱視とかロービジョンと呼ばれる「見えにくい人」のほうが多く、視覚障害者全体の7割程度いっらしゃるそうです。おおまかには、全体がぼんやりと濁って見える、視野の中心は見えるが周辺が見えない(字が読める)、視野の中心に見えない部分がある(場所が分かる) と分かれますが、見えにくさは一人ひとり違うとのことでした。

  私たちは天気が良いと外出したくなりますが、まぶしいと見えにくくなる人は曇りの日を選ばれるそうです。

 外出についても、私たちの知らないことや単なる思いこみがありました。例点字ブロックえば、街中で白杖(はくじょう)で歩行されている方を見るとあたりの配置や方向などは熟知されているように思いますが、実は白杖で分かるのはせいぜい一歩先だけだそうです。

 
 ですから、駅のホームが一番恐いとおっしゃいます。点字ブロックを利用すれば安全に正しく歩けますが、点字ブロック上で電車を待つ人や物があるとよけ、点字ブロックから離れた途端に方向があやふやになり転落事故につながるそうです。恐ろしいことに落ちて始めて転落したことが分かるそうです。
 落ちる船岡寮前に気づくことは出来ない、防止できるのは周囲の人の気づきと声かけだと何度もおっしゃっていました。駅で最近よく耳にする、乗降客に声かけをうながすアナウンスです。


  学生の興味を引いたのは、触読時計や体温計、オセロゲームなどの福祉用具でした。実物を見て触らないとわかりません。講義で何度も聞くよりも、障害当事者の指摘や訴えの方が力があります。障害の専門家は障害者自身です。
  写真の個性的な建物は盲養護老人ホーム「船岡寮」ですが、現在は移転して「ライトハウス朱雀」となり他の高齢者施設と併設されています。     (ホンダタカシ)

2018/02/02 17:23 | 未分類trackback(0)  | top

再トラウマ化を防ぐ

 例えば、食事の時間、プラハの店1 支援のプログラムに食事も含まれていると。
 食事なんていらない、いつも決まったメニューばかりは嫌だなどと不平を言い、食事担当のスタッフに当たり散らす言動を前にすると、なんてわがままで自分勝手な奴、あるいは健康への意識が低く状況の理解が悪いと思われかも知れません。摂食上の問題とみなされることすらあります。

 しかし、トラウマを意識した視点からみたらどのように考えられるでしょうか。例えば、その人の子ども時代、母親はいつも冷蔵庫にあるものをいっしょくたにして無理矢理食べさせようとしていたとしたら。
 食事の時間はみんなにとっては待ちに待った時間であったとしても、その人にとっては子ども時代の嫌な体験を思い起こさせるだけでしかありません。

プラハの店2  その人は食事のたびにわき上がる不快な気持ちに対していら立ちや不満を示します。もし、支援のスタッフがそのことに無頓着で無理解であれば、食事場面での問題行動と考えて注意するか無視するしかありません。一方、その人は過去のトラウマの再燃に一人で苦しみます。

 ここでいう「再トラウマ化Retraumatization」とは、複数の出来事に暴露された影響を指すだけでなく、(以前の)トラウマ・ストレスが再体験されるプロセスです(SAMHSA, 2014, p. xviiiを一部改編)。再トラウマ化のリスクは支援のいたるところにあります。
 SAMHSA(2014)は、支援する側は絶えずトラウマを意識した視点(レンズ)から、支援の方法や内容を点検するよう求めています。もっとも問題なのは、不適切な行動をする人ではなく、トラウマについての知識も意識も関心もがない支援する側です。

  SAMHSA (2014) Trauma-Informed Care in Behavioral Health Services TIP 57.

さて。富士日記
 先日、1泊の入院を経験しました。数人の高齢の患者さんがテーブルを囲んで食事中でした。その話し声、面会に来た家族、看護士さんたちの声、さまざまな機械の音などがあちこちから聞こえます。面会に連れられてきた子どもがゲームをし、ジュースをねだり、その横で問診書を書きました。案内された病室でぼんやりとしていると、見慣れた景色は病室の窓ガラスを通すと少し遠のいたように感じます。同じTV番組も家で見るのと同じではありません。2時間おきに見回りに来られますが、病棟のスタッフがの方は正しくていねいで、動作や会話の1つ1つの意図と思いが伝わる確かなスキルです。
 病院のベッドでも武田百合子の「富士日記(中)」、そのなかで当時山梨では「ヘップ履き」と呼ばれるサンダルがことが出てきます(昭和41年12月)。それは、かかとのついたスリッパでオードリー・ヘップバーンが映画の中で履いていたので流行ったらしいのです。インターネットで見たらその映画は『ローマの休日』。どの家庭にも1足はあるビニール製のつっかけの由来です。          (ホンダタカシ)

2018/01/19 21:08 | 未分類trackback(0)  | top

トラウマ・インフオームド・ケアの第一歩は「安全の確保」

「 トラウマ・インフオームド・ケア Trauma Informed Care」とは、トラウマに関する詳しい情報にもとづいた支援/ケアです。ここでよく引用する米国の機関、SAMHASの冊子のなかにトラウマ・インフオームド・ケアを実施する際の課題がまとめられています。
信号機
 最初に取り上げされているのは「安全の確保」です。トラウマ・インフオームド・ケアにおいて最初に取り組むべき、最大のものが安全です。逆境や被害体験を受けた人は日常的な感覚が安心感、安全感を欠いたものになっている可能性が高いからです。その人の意志とは無関係に浮かぶ嫌な記憶や悪夢、他人とのつながりが薄れるような感じ、自分の感情をうまく制御できない、などいつも追い立てられて危険が迫ってくるような感覚をもっているかもしれません。たとえば、休暇や転勤などでいつもの支援スタッフが休んだり交代したりしただけでも、本人の安全感を損ねるおそれがあると冊子では指摘されています。
 
 SAMHSAの冊子にはその対策として、現実感を取り戻し確認する方法(グラウンデイング・テクニック や面接の終了時に必ずその後何をするかプログラムを聞く)や面接やワークの開始と終了時に決まり切った動作を行うなどがあげられています。

 環境面への配慮も重要です。大きな音な声、匂い、不用意な身体接触などは避けねばなりません。例えば、穏やかで抑えたトーンで話す人には同じように静かに話します。

 トラウマ・インフォームド・ケアにおける安全への取組みは、支援者側に求められることです。ここでいう支援者は、福祉サービスや医療サービスを提供する者/事業者はいうに及ばず、家族や地域社会も含まれます。支援する側が、トラウマ・インフオームド・ケアでいう「安全の確保」を知らなかったり、関心がなかったりすると、良かれと思った支援が逆効果をもたらす危険が常にあります。

 受容的な態度は支援者の基本的な態ラーメン店度とされていますが、もし受容的な態度で接近してきた加害者による被害体験のある人は、ひょっとしたら安全への脅威を感じて警戒度を高めるかもしれません。支援者は絶えず「安全の確保」を意識して支援活動すべきである。
 安全が保てない場合、逆境や被害体験を受けた人に引き起こされるのは再トラウマ化です。その影響がさらに重篤になるおそれがあります。

 「安全の確保」は入場ゲイトであって、ゴールでもあります。絶えず課題になるとSAMHSAの冊子は教えます。

SAMHSA (2014) Trauma-Informed Care in Behavioral Health Services TIP 57.  U.S. DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES  p.7 <Retrieved from  http: //store.samhsa.gov/product/TIP-57-Trauma-Informed-Care-in-Behavioral-Health-Services/SMA14-4816.>            (ホンダタカシ)  

2018/01/05 09:43 | 未分類trackback(0)  | top

古本、新本

 最近、古本、新刊書、雑誌を取り混ぜて本を買い込んでいます。

 月村了衛『機龍警察 狼眼殺手』(早川書房)は、接近戦専用兵装の龍機兵ドラクーン積読を擁した警視庁特捜部を描いた派手なアクション小説&警察小説です。

 龍機兵とは『アイアンマ』ンに出てくるパワードスーツのようなもの、ただし空は飛びません。この装備自体が近未来的ですが、警察内部の軋轢も同時並行します。かって警察小説といえ八七分署のような刑事物のはずでしたが、内部機構のうごめき描写に変貌したかのようです。著者サイン本ではありますが、☆3つ半というところでしょうか。
 

 山折哲雄『愛欲の精神史』(小学館)は八年間にわたる雑誌連載をまとめたものです。エロスを軸に宗教、哲学、文学が縦横無尽に論じられます。

 ゼロと空をあつかった章のなかに、かって大変有名であったロゲルギストの科学エッセイをきっかけにした「日本人は”ゼロ嫌い”か」という節があります。 ”正午は午前か午後か”という問いに始まります。辞典では「昼の12時(=午後0時)」とあり、午後は「正午から夜の12時まで間」、午前は「真夜中の零時から正午までの間」(いずれも新明解国語辞典第7版)。では昼飯時の12時半はどうか。午後0時30分と言うよりは、厳密には正しくはないけれど午前12時30分という言い方の方がなじむのではないか。なぜなら、どの時計も12時はあっても0時はない。だから、日本人は・・・となりそうですが、そうかしら。

 ホンダ解釈をまじ時計 えてご紹介しましたが、本ではさらに列車の時刻表に着目した秀逸な学生レポートが紹介されています。列車の時刻表は24時で示されていますが、23時に次は0時か24時か、関東と関西に違いがあるのか。
 時刻表を比較すると、24時発の阪神電車、京阪電車がある一方で阪急やJRのように0時発電車もあります。昼の12時30分のほうが午後0時30分よりはるかに自然だと思いましたが、そう簡単に判断できず、”ゼロ嫌い”とも断定しがたいようです。でもなぜ時計に0時がないのか。

 「愛欲の精神史」の中ほどでは源氏物語に展開し、橋本治の著作を援用して有名な「雨夜の品定め」が論じられます。そのなかで、光源氏は12歳で元服しすぐにに葵の上と夫婦になったというのです。12歳といえば小5か小6!源氏物語に登場する人物は、少なく2、30代の成人だというのは単なる思いこみでしかありません。こうした読み解きを手がかりに平安時代のエロスへとさかのぼります。 

 細澤仁『実践入門 解離の心理療法 初回面接からフオローアップまで』(岩崎学術出版社)を本題にするつもりだったのですが、その手前で脱線してしまいました。以下次号。          (ホンダタカシ)


2017/12/22 08:28 | 未分類trackback(0)  | top

再び「トラウマとは何か」

 トラウマ・インフォームド・ケアTICについて研究や実践をしていますが、前提となるトラウマについてわかりやすく網羅的な 定義をのせました。以前ご紹介したことのあるSAMHSA(Substance Abuse and Mental Health Services Administration Center for Substance Abuse Treatment物質乱用とその治療のためのメンタルヘルスサービス管理センター)のものです。原著ではひとつのパラグラフにおさまっていますが、ここではわかりやすくするために番号をふって箇条書きにしました。

  1. SMA14-4816.jpgトラウマは、個人が身体的感情的に有害で脅威的だと体験したひとつの出来事、一連の出来事または状況に起因している。
  2. トラウマは個人の機能や能力、身体的、社会的、感情的または心理的な幸せに対して有害な影響を与え続ける。
  3. トラウマは、全ての人種、民族、年齢、性指向、ジェンダー、心理社会的な背景、地理的領域の人に対して影響を及ぼすことがある。
  4. ひとつのトラウマ体験は単一の出来事のこともあるし、一連の出来事や慢性的状況(ネグレクト、DV)、あるいは後者だけであるかもしれない。
  5. トラウマは、個人、家族、グループ、地域社会、特定の文化、世代に影響を及ぼすことがある。個人または地域社会のもつ対処のための資源をほとんどの場合圧倒し、その出来事を体験した時、「戦う、逃げる、あるいは凍りつく」反応を引き起こすことが多い。
SAMHSA (2014) Trauma-Informed Care in Behavioral Health Services TIP 57.  U.S. DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES  p.7 <Retrieved from  http: //store.samhsa.gov/product/TIP-57-Trauma-Informed-Care-in-Behavioral-Health-Services/SMA14-4816.>

1. 個人の体験であって人により異る主観的なもので、その原因はひとつの出来事の場合や連続した複数の出来事や状況もあるとしています。
2. 人間の健康さや幸福感を侵しつづけ、悪影響は慢性化することがあり一回だけの打撃ではありません。1.と2.が中核の定義としてひとまとめにされています。
3. 例えば戦争を考えればわかりますが、トラウマは人間のあらゆる特性や属性に影響します。
4. 1つのトラウマの体験はとひとつの出来事とは限らず、慢性化した状況や環境の場合があります。
5. トラウマに対処しようとする手段や試みがことごとく失敗し、なす術がないと分かると「戦う、逃げる、あるいは凍りつく」反を引き起します。
「戦う、逃げる、あるいは凍りつく」反応とは、トラウマに対処しようとした行動で、その時はなんとかかわせたとしても、不適応でより困った結果におちいりやすい。以下のようなものです。
「戦う」 過度の警戒、怒りっぽい、過剰に反応する、攻撃的、挑発的。
「逃げる」 人間関係の回避、親密さの回避。
「凍りつく」 受動的、依存的、境界線を維持できない。
Levenson, J. S., Willis. G. M., & Prescott, D. S. (2017). Trauma-Informed Care : Transfoming Treatment for People Who Have Sexually Abused. Safer Society Press.  p. 56.
全作品

 さて。
 探していた「武田百合子全作品」(中央公論社)の全巻を天神橋商店街の古書店で見つけて購入しました。行く先々の古書店で尋ねても、口を開くのもおっくうという感じで首を横に振られるだけでした。小説や文芸書のたぐいは売れないね、というお答えばかりでしたが、なかにはどこの女優さん?と逆に質問されて驚いたこともあります。買った古書店のおじさんは、美人だったからねえと、まるで知り合いのだったかのようにおっしゃいましたが。
  ほしいなあと探していたものを偶然見つけた時には自分の運もまんざらでもないなあと思い、商店街の別の店に足が向きました。            (ホンダタカシ)        

2017/12/07 21:28 | 未分類trackback(0)  | top

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