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児童期逆境体験ACEスクリーニングの導入:第37回心理臨床学会でのポスター発表

  台風による暴風、豪雨、高潮、それに地震などが私たちの日常をおびやかしています。あたりまえに生活することがこんなにも大変だったか。
心理臨床学会
 猛暑といわれた8月末から9月にかけて神戸で第37回の心理臨床学会が開かれました。このブログでも何度かご紹介している児童期逆境体験ACEスクリーニングの紹介と試行に関する発表をしました。

「性問題行動の心理支援/生活支援への児童期逆境体験ACEスクリーニングの導入 -トラウマ・インフォームド・ケアTICに向けて-」 

 児童期逆境体験ACEに対する質問項目は、オリジナルの米国のCenter for Disease Control(CDC)による児童虐待と家庭機能不全からなる10項目をもとに、Levensonnら(2017)によっていじめや差別など8項目が追加され、さらにわれわれが自然災害の項目を追加して、全19項目としています。

 これまでわれわれは性加害者を対象にセラピー/心理的支援と生活支援を未成年者や知的障害児者などを対象に実践してきましたが、そのプロセスで大きな課題となったのが児童期逆境体験ACEsでした。この被害体験は本人の考え方や感情などに強い影響を与え続けており、加害行為の直接の原因ではなかったにせよ、その準備状態を形成したのではないかと考えました。したがって、今回発表した児童期逆境体験ACEのスクリーニング質問紙は、知的/発達障害者児者への実施を前提にしています。
 また、知的/発達障害者とトラウマの関係、とりわけ彼らに生じたトラウマに関連した症状や問題に対してどのように考え支援するかを論じたものが極めて少ないことから、副題にあるようにそのアプローチとしてトラウマ・インフオームド・ケアに触れています。発表では加害行為からアプローチしましたが、実のところ知的/発達障害者児者の支援全体に関わる課題です。

 これらの特徴に着目され、実際に使用したいというご希望もいくつか頂きいました。

 研究者、児童相談所など相談機関、児童養護施設や児童心理治療施設などの児童施設だけでなく、警察や保護観察所の被害者担当、自衛隊に勤務している心理専門家が来られました 。いずれの機関もトラウマに強く関連しており、そこで心理的支援の業務に携わっておられる専門家です。
     (ホンダタカシ)

2018/09/14 08:55 | 未分類trackback(0)  | top

障害者虐待はまん延しているのではないか

  障害者のトラウマや逆境体験に関する文献を探していると2012年のアメリカでの調査結果がありました。
Baladerian, N. J., Coleman, T. F., & Stream, J.(2013).  Abuse of People with Disabilities.  Victims and Their Families Speak Out - A Report on the 2012 National Survey on Abuse of People with Disabilities-  Spectrum Institute Disability and Abuse Project. Retrieve from http://www.disabilityandabuse.org (August 25, 2018)
玄関ホール
(バラデリアン, N. J., コールマン, T. F., ストリーム, J. (2013). 障害者虐待 被害者とその家族の主張 ー2012年障害者虐待に関する全米調査ー)(仮訳;著者名の読み方は未確認)
  この調査はインターネットを通じて行われ、障害者当事者はもちろんのこと、その家族や支援者も参加しています。支援者には直接のサービス提供者、ソーシアルワーカーや司法関係者なども含まれています。
 
 回答した障害者のうち70%余(958人/1364人)が被虐待体験があったと報告しました。同様に家族では63%(1431人/2249人)でした。7割前後とはかなり高率です。著者らが言うように、コントロール群を用いるなど統計的には十分とはいえないため、結果の数字をそのまま一般化するには慎重さが必要かもしれません。しかし、タイトルにあるように被害を受けた障害のある人とその家族の主張speak outを聞くことが重要です。
 私たちの2007年の知的障害者を中心とした調査では26.6%(173人/650人)でした(川口 他, 2007)。アメリカの調査に比べ母数が異なり率も低いですが、それでも全体の1/4です。障害者虐待は思いのほ木々か広がっているのではないかと思える結果です。

 さらに驚くべき数字があります。被虐待体験のあった障害者のうち、2/3(62.7%)は通報しなかったのです。ただし、家族が関与すればその率は幾分低下します。でも、身体的虐待(暴力)被害者の40%、性的虐待被害者の41%強は通報していません。ここでの通報先は、警察や保護サービスとなっており、日本では行政機関(市町村福祉事務所)や警察が相当するようです。
 では、なぜ通報しないのか。通報してもなんら変わらない、無駄だ、との回答が58%です。怖い、恐ろしいとの回答が38%、どこへどうやって通報していいのかわからないとの回答が33%です。虐待の被害者やその家族や支援者への情報提供不足を指摘することが多いようですが、それ以前に、通報しても意味がないとの無力感やあきらめが先にあるとの調査結果です。虐待への対応に関しては、支援の内容やその実施機関への信頼が実に薄いのです。
 こうしたことを考えれば、公表される被虐待者数の背後にも多数の被害者が支援を待っているはずです。
 障害者雇用者数の水増し問題が連日報道されています 。これ以上支援を求める障害のある人の信頼感をくだき、無力へ追いやることがあってはなりません。

川口敦子・松澤知子・細田陽子・陳愛玲・伊庭千惠・隈部一彦・福嶋裕美・本多隆司(2007).  反社会的行動のある知的障害者への支援ーその1被虐待体験との関連性の検討ー  日本心理臨床学会  第26回大会
       (ホンダタカシ)

2018/08/25 17:43 | 未分類trackback(0)  | top

発達障害学会第53回大会

  福山市立大学で開催された「日本発達障害学会第53回研究大会(8月11日・12日)で、「トラウマ・インフォームド・ケアTICによる支援の提案-性問題行動のある知的・発達障害者への支援を中心とした検討-」(共同発表)という題でポスター発表をしました。いつもこうなるのですが、とても長いタイトルです。

 「トラウマ・インフォームド・ケアTIC」はここで何度か説明していますが、トラウマに発達障害学会ついて知識がある、とかトラウマをよく理解しているという意味です。「性問題行動」とは、性犯罪だけでなく、犯罪とは言えないまでも性に関して不適切で容認されがたい行動をも含みます。
 「知的・発達障害者」とは聞きなれないかもしれませんが、知的障害とASDやADHDなどを含む発達障害を指しています。もともとは知的障害を中核として発達障害をとらえていたはずですが、いつの間にか変化したので並列した表記にしています。米国の文献ではI/DD:Intellectual/Developmental Disability(-ties)とされることがあります。ちなみに障害者はPWD:Person(s) With Disability(-ties)。なんでも略されます。
 

 発表は、畳1枚程度のボードにあらかじめ提出した論文をポスターにして貼り出します。われわれは、A0版(841mm×1189mm)でポスターを印刷しましたが、以前はA4版で印刷しボードに敷き詰めるように貼りました。指定された日時にポスター前に陣取って、ごらんになった方からの質問に答えますが、障害福祉事業所や学校、医療機関など現場での実践的な話題に発展することが多く意見交換が白熱することも少なくありません。この学会は知的障害、発達障害が中心で、研究者や学生だけでなく、専門的実践者、障害者当事者、保護者など多彩や参加者です。
  トラウマ・インフオームド・ケアという考え方は、加害者治療だけでなく、誰もが踏まえるべき対人援助における基本的な部分ではないかかという指摘がありました。われわれはどうかすると、知的/発達障害のある加害者を対象にした指導や支援というピンポイントをめがけて研究していたので、視野が狭くなっていたかも知れません。

 トラウマ・インフオームド・ケアTICという言葉をご存知の方は少数猫2匹でした。このテーマは障害児者福祉と臨床心理学の重なる領域です。アセスメントや(心理的)支援には両方の知識とスキルが要求されます。法律の施行から数年たち虐待への関心は高まりましたが、障害児者の児童期逆境体験ACEsなどトラウマについての知識や支援の方法への関心の広まりはこれからだ、との感じました。

 阿尾日記2。
 月に二、三度漁村の借家で過ごしています。ここの集落は、海から山までは短く横に細長く、人がすれ違うことが出来ないほどの狭い道が家と家のすき間を曲がりくねりながら縦に横に通っています。車のおいてある場所から家まで2、3分の距離ですが、道がおぼられないので通るたびに違う場所に出てしまいます。人よりも爪や甲羅が赤い蟹と出会う方が多いようです。蟹は人の気配を察知するとすぐに石垣や溝などに隠れてしまいます。家はそうした道がまじわる所にあるので、人通りが多く?ときおり声をかけてくださいます。おみやげをいただくこともありました。       (ホンダタカシ)
 

2018/08/14 17:41 | 未分類trackback(0)  | top

コラージュ療法

種智院大ではソーシャルスキルズトレーニング(SST)を行なっています。
社会福祉学科だけでなく仏教学科も参加してくださいます。
去年から始めたSST。
学生自身の課題に取り組んできたのですが課題を克服できた学生、まだの学生と様々でした。
しかし、一番よかったなと感じたことは学年、学科をこえて友達になっていることです。
様々な刺激で高め合いができていることにホッとする正井でした。
そして学生から箱庭療法をしたいと申し出があったのですが種智院大には箱庭がありません。
そこで手作り箱庭をする約束をしてコラージュ療法を昨年の最後に行いました。
去年、休まず出席した方がいました。
ミニハーバリウムをプレゼント🎁
写真はのせることができないですが、オープンキャンパスにて見ることは可能です。
コラージュ療法を見てみたい方は8月5日のオープンキャンパスへ。
(正井佳純)

2018/08/03 09:13 | 未分類trackback(0)  | top

関心を呼び理解されるポスター作り

  8月に福山大学で開催される発達障害学会での発表のために、展示用のポスターを作っています。
 発表会場には横90cm×縦180cmのボードが用意されており、そこにポスターを貼り出して説明します。パソコンで伝わるデザイン作成できるサイズ、町の印刷屋さんで印刷可能なサイズ、それに見やすいサイズを考えると、もともとA4で下書きしていますのでA0版の84.1cm×118.9cmになりそうです。縦180cmとありますが、床からの高さなので少し下を空けないと読めません。
 これまでも何度か発表用のポスターを作りましたが、何をどのように訴えるかばかりを考えました。ところが、この本を読んでそれがいかに間違っていたかを思い知らされました。大切なのは書き手の視点ではなく、関心を持ってもらい、理解してもらうために読み手の視点を持つことです。実に当たり前のところが間違っていました。

高橋佑磨・片山なつ (著)「伝わるデザインの基本 ーよい資料を作るためのレイアウトのルールー増補改訂版」技術評論社

 二人の理系研究者の著作で、デザイナーによるものではないところが強みです。発表のポスターや講演や授業のためのプレゼンテーション作成について、豊富な用例とともに具体的で有益な指針が示されます。
 とく重要なのがフオントの選択です。WordやPowerPointを使うとMS系になりがちですが、視認性や美しさから見ると考えものです。和文には游、ヒラギノ、メイリオを、欧文にはHelvetica Neue やTimes New Romanなどが推奨されます。この本に指摘はありませんが、明朝体が読みづらい人がおられるので、各種のプレゼンテーションには必ずゴチックを使います。
 もう一つ重要なのは余白です。とかく、あれも言いたいこれも言いたいと情報をぎゅうぎゅう詰めにしがちです。読み手にとっては逆に読みづらく、そのうえメリハリがないので重要な点が分からなくなる恐れがあります。
 
阿尾港  情報量を維持して内容を高く保ったまま、余白を生かして美しく見やすくするためには一つ一つの文章のブラッシュアップが不可欠です。毎日パソコンに向かう盛夏です。
 
 あお日記。
 漁村の朝は早いというけれど、ここは静かで穏やかです。広い港の端っこに知り合いのおじいさんらが世間話をしながら鯵釣りをしています。南蛮漬けにするんだそうで、食べる分が釣れたら納竿されます。
 大きな鱧を水揚げしている漁船のそばに千葉ナンバー?のヨット、別のところに静岡ナンバー?のヨットが停泊しています。どちらも小柄のヘミングウエイのような単独行のヨットマンで、氷を求めての停泊のようでした。漁港に氷の自販機があるなんて知らなかった。100円玉を入れるとクーラーボックスいっぱいの氷が手に入ります。
     (ホンダタカシ)

2018/07/17 09:19 | 未分類trackback(0)  | top

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