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猪 熊楠の『十二支考』

 本年もよろしくお願いします。
熊楠1
 水木しげるの「熊猫」を読み終えて、熊楠と猫をテーマにした本、「熊楠と猫」南方熊楠・杉山和也・志村真幸・岸本昌也・伊藤信吾(2018)  共和国(出版社の名前)、という珍しい本を手に入れました。
 猫に関する論考、俳句、手紙などが載っていますが、目を引いたのは筆で描かれたと思われるたくさんの猫の絵です。猫の体温を感じさせるやわらかな身体の線が墨の筆で生き生きと描かれます。猫好きでたくさんの猫の絵がありますが、いわゆる猫かわいがりではなく観察対象でもあったようです。時に邪険にあつかったともあります。

 動物に対する最も有名な論考は、「十二支考」南方熊楠 板倉照平(校訂) 平凡社東洋文庫 全三巻、です。今年の干支である猪について熊楠は民族学、人類学をはじめとしておびただしい数の図書を駆使して論述します。その解説によれば、例えば『蛇に関する民族と伝説』の章では「引用書目およそ142種、英54、日50、漢26、仏6、羅2、伊2、独2」とあるそうで、語学力もさることながらその博覧強記ぶりはすさまじい。

 『猪に関する民族と伝説』(第3巻)は、干支は亥(イノシシ)であるが大陸の猪は豕(ブタ)のことであるとの説の紹介から始まります。古くは豕の子を猪(和訓でイノコ)、豚といい、さらに野生の猪を野猪または山猪といい、家で畜った(かった)のを家猪と呼んでそうです。

 豚をブタと訓んだのは明の時代、室町時代から江戸時代初期の頃で、広島や京都では家猪として飼われいたという。太っていることを形容する言葉としても使われていたらしい。

熊楠2  続けて、アリストテレスやプリニウスの著作にもあるとありますが、猪が蛇を食べるテーマと転換し、猪による毒蛇除けの伝説へと移ります。
 さらに、1915年版のルーマニアの動物伝説を記した書籍から紹介される話もあります。方舟で有名なノアが葡萄を植えていると天魔(悪魔の一つ?仏教語?)が来て山羊の血、獅子の血、豕の血をその根に注いだ。後に、「チョビッと酒を飲むと」山羊のように跳ね回り、「おいおいに」飲むと熱くなって獅子のように吼え、「飲みまくって、・・泥中に転げ廻って、汚れも気にせず、猪の所作をする」と。

 世界のさまざまな文献から、猪の伝承やその土地その時代の人と猪のつながりに始まって私たちの世界観が息つく間もなくつむぎだされていきます。高速回転するメリーゴーラウンドに乗っているように楽しくてワクワクする読書体験ですが、振り落とされないようしがみついているが大変です。

 物質使用/濫用などアディクション(嗜癖)の治療や支援でよく見かけるKhanzian(1985)の自己薬物治療仮説について書こうと準備しましたが、それは次回にまわして、滅法面白い熊楠のお正月らしい話題としました。              (ホンダタカシ)

2019/01/03 16:30 | 未分類trackback(0)  | top

クリスマスバージョンのSST

SST/ソーシャルスキルズトレーニング
クリスマスシーズンということで
ハーバリウムボールペン、リース作り、ツリー作りを自由にしてもらいました。
このような創作活動の目的は雑談をする、自己表現の場、周りをみること、達成感など様々。
黙々と作業をする学生さん、作品を認め合いながら作業する学生さん、喋り続けるわたし(笑)、お菓子を食べながらなのでいつもよりリラックスしている学生さんなどなど。
雰囲気は良かったです。
学生さんからのコメントでSSTして声が大きくなり笑うことが増えたとご家族に言われたとあり心理の先生もわたしもすごくうれしいひと時でした。
許可を得て写真掲載しています。

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(正井佳純)

2018/12/20 23:27 | 未分類comment(0)trackback(0)  | top

初動対応要員First Responder

  トラウマには、一人の個人だけに起こるトラウマ出来事もあれば、ある特定の集団に影響するトラウマ体験があります。ここでは、SAMHSAをかりて、集団のトラウマ、特に初動対応要員First Responderについてご紹介します。

 初動対応要員First Responderとは、直訳すれば最初にFirst、応答した人Responder、つまり救助救急隊員、消防隊員、警察官などをさしますす。さらに、ライフガード、兵士、宗教家、メンタルヘルスなどの専門家も含まれるとされています。職務とする人たちが中心ですが、中にはボランテイアの方もいらっしゃるかもしれません。
 こうした集団は繰り返しトラウマを経験します。集団に属する人たちは、集団外の一般の人にはすぐには理解できないのではないかと思い、仲間内にとどめておこうとするかもしれません。そのうえ、突然の重要な任務を遂行し眼前のニーズに敏感になるために反応を抑制する、つまり感情を抑制しトラウマ体験を抑圧しようとするかもしれません。SAMHSAの指摘です。
 たとえタフであったとしても、後の心身の健康を考えれば、初動対応に
青海
従事される方の十分なケアは必要ではないか思います。
SAMHSA(2014). TIP 57: Trauma-Informed Care in Behavioral Health Services. A Treatment Improvement Protocol. Substance Abuse and Mental Health Services Administration  U.S. DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES.  pp. 38-39. Retrieved from  http: //store.samhsa.gov/product/TIP-57-Trauma-Informed-Care-in-Behavioral-Health-Services (January 9, 2018)
阿尾日記4
 秋が深まって海は緑青からその青さを深めていきます。波止へ行くと、使い込まれて年季を感じさせるバッカンやクーラーボックスなどをスムーズに手返しできるよう並べた常連さんた朱海 ちが測ったように陣取っていらっしゃいます。風に悩まされた私たちは全く釣れません。でも、漁協直売店で買い求めたカワハギをほぼ薄造りにして、そのカワハギの濃厚でありながらさっぱりした肝をといた醤油につけていただくと、それはそれは秋の海の味わいです。                            (ホンダタカシ)

2018/11/26 21:01 | 未分類trackback(0)  | top

猫熊/華燭の宴

「小説を読む楽しみの一つは、単に話の筋を追っていくのではなく、言葉が次の言葉
猫熊
を紡ぎだしていく、その連鎖反応を、いわば言葉という生き物の、紙の上での生成過程を味わい尽くすところにある。」
 読み手のプロ、坪内祐三さんです。読んでいるときのワクワク感までがじょうずに表現されているなあ。坪内祐三『シブい本』文藝春秋社(平成9年)。あまり知られていない文字どおりシブい本ばかり紹介されています。
 この本に水木しげる『猫楠 ー南方熊楠の生涯ー』角川文庫(平成8年)が取り上げられていました。
熊楠は、自分が思ったように生活に突きすすみ、躍動感のある巨大な子どものようだと言われます。そんな熊楠に対して「幸福ってなんだろう」と考えることを趣味とする猫熊がチクチクと話を進めます。十数語Wed1.jpgの言語をあやつる猫好きの熊楠は猫語も(幽霊語も!)できたらしい。
 粘菌を中心に自然界(や霊界)の研究に没頭した熊楠の生涯、「有限である人生でどれほど幸福でありえたか」を猫熊が考察します。 

   過日、新郎新婦の友人がたくさん参加される晴れやかな結婚式に参列しました。新郎はWed2.jpg卒業生です。宴ではたくさんのスライドショウが披露されました。新郎の勤務する福祉事業所の職員さんたちが次々に登場してご挨拶されたスライドは、障害者施設の紹介としても楽しめるものでした。また新郎の大学時代の行事の場面などいくつかのエピソードも映し出されました。懐かしいシーンです。列席した友人たちもほと んどが新郎の同級生、つまり私が10年ほど前に教えた学生です。顔は覚えていましたが、うーん名前が出てこない。ごめんなさい。蛇足ながら、新郎新婦は犬好きです。
     (ホンダタカシ)

2018/11/06 08:09 | 未分類trackback(0)  | top

エース・ピラミッド

 児童期逆境体験ACEsが、その後の人生で身体的にも心理的にも強い影響をあたえ続けることはこれまで繰り返したとおりです。児童期逆境体験ACEsとは児童虐待と家庭内での暴力の暴露や問題飲酒など家庭の機能不全をさします。

 児童期逆境体験 ACEsが段階的に影響をあたえ続けていることを図で示したものがエース・ピラミッドです。エース・ピラミッドはCDCのホームページhttps://www.cdc.gov/violenceprevention/acestudy/about.html、その元となったFelittiらの論文にも図2(Felitti et al., 1998, p.256, Figure 2)として示さAce Pyramidれています。


 「児童期逆境体験s」のピラミッドは、「これが疾病に対してどれほど強く関係しているかを明らかにしたもの」です(CDC)。子ども時代のつらかった逆境体験に対して、対処できずにただ目と耳をふさぐだけ、逃げ出すか耐えずビクビクするほかなく、また誰からもケアや援助がない状態では少しづつ心身に悪い影響をあたえ続けます。末尾のsは複数であることを示します。以下も同じです。

 研究が進められている領域のようですが、脳神経のネットワーク化など神経の発達が盛んな子ども時代にはトラウマの影響は見逃すことができないといわれています。児童期逆境体験は「神経発達」を妨害します。ただし、この領域はFelittiらの論文にはありません。

 
 人づきあいがしんどくなって友人が減る、何をやってもうまくいかないと自信をなくし、思い出したくもないのに突然その時の嫌な記憶が頭に浮かぶ、などが「社会的・心理的・認知的(機能)障害impairment」です。

 さらに進むと、喫煙、アルコール、違法薬物などを使用し、「健康を害するリスク」が高まります。リスクある行動を増やすことで、エースで生じた不快感や不全感に対して一時的にせよ無感覚になろうとしているのかもしれません。

 その後、病気にかかる、いろいろな実行する能力が障害されdisability、社会での問題に発展しかねません。反社会的な行動をした人に児童期逆境体験が多いとの指摘があります。



 その結末は「早すぎる死」です。つまり、児童期逆境体験は主要な死因に結びついていると指摘されます。活動や活躍の期間を短縮し、心身の健康を阻害する社会的な損失です。その意味でも児童期逆境体験ACEsの予防は喫緊の課題です。

Felitti, V. J.,  Anda, R. F., Nordenberg, D., Williamson, D.
F., Spitz, A. M., Edwards, V., Koss, M. P.,&  Marks, J. S.(1998). Relationship of Childhood
Abuse and Household Dysfunction to Many of the Leading Causes of Death in
Adults.  The Adverse Childhood
Experiences (ACE) Study.
American Journal of Preventive Medicine. Volume 14, Number 4,
pp. 245-258.

阿尾日記祭礼3

 夕方に波止場で鯵釣りをしていると、私の後に白と茶の小柄な猫がじっとすわっています。猫の視線に負けて、たまらずに釣れた鯖を投げるとはやわざで鯖をくわえて走りました。そこへトンビが急降下。鯖をくわえた猫がトラックの下に潜り込み、セーフ。

 庭の金木犀の根元がかなり掘り返されていました。蟹のいたずらにしては大がかりだし、人間のしては中途半端です。墓参りのために通りがかった大家さんに尋ねるとあらい熊ちゃうか、と。おー、ラスカル。でもイメージとは違ってどう猛で危険らしいです。この金木犀は大きくなりすぎて剪定され、今年は花がつかないようです。すこし残念です。


  10月になって久しぶりの快晴でした。祭りの登りや灯台が映える青です。

 カメラをぶら下げてうろうろしていると年配の方に呼び止められました。昔は祭事を撮る日ノ御埼灯台カメラマンも多く来たそうですが、最近では人が減ったのでお祭りがさびしくなったそうです。その方は、今のここの高齢化率は◯◯%で、世帯数もカクカクまで落ちたと、数字をまじえて詳しく説明して下さいます。港近くで会った女性も同じように数字をもとに説明されました。 具体的で説得力があります。ここの高齢者は数字にめっぽう強い。私は教える側なのに覚えていません。それこそ「ボーッと生きてんじゃねーよ」と言われそうです。



 日ノ御埼灯台へ向かう海沿いの道は、台風のためかガードレールが流され?、曲がり!、岩や流木が散乱していました。風力発電機は支柱の真ん中で半分に折れています。


 まあるい水平線の向こうに徳島と淡路島が遠望できます。      (ホンダタカシ)

2018/10/14 11:14 | 未分類trackback(0)  | top

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