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巨椋池

「巨椋池」は難解地名に類する。初めてこの漢字見て読める人はそういないのではないか。種智院大学はこの「巨椋池」を干拓した農地に東寺の境内から平成11年にこの地に移転した。この地名は「おぐらいけ」と読む。もともとこの巨椋池は広大な蓮池で、昭和16年に埋め立てられるまでは、お盆前は蓮の花の出荷、冬はレンコン堀りが行われ、蓮の花を鑑賞する屋方船が浮かぶ景勝地であったそうである。周囲約16㎞もあったので池というよりは湖であった。大池ともよばれた。今でも埋め立てる前の蓮の花が顔を出しているところがあると聞く。

                巨椋池
                    
(江戸時代の巨椋池を描いた「巨椋池 歴史絵巻」、農林水産省近畿農政局巨椋池防災事業所発行のパンフレットより)。中央に「巨椋池」、向こう側には「宇治川」の名が記されている。

 蓮池であったころは、著名人もよく訪れたそうである。京都画壇の画家たちも写生の場としてもよく題材にとりあげていたという。

 9月中旬、泥鰌すくいの安来節で有名な島根県の安来市にある足立美術館を訪れた。安来駅から送迎バスで20分ほどの山間部に足立美術館は位置している。おおよそ50,000坪の広大な敷地に、美術館のほか、日本庭園、枯山水、白砂青松庭、苔庭、池庭等が配されている。それぞれの庭の背景には大山の山並みが借景となって横たわっている。これらの庭園は「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ」の日本庭園ランキングで桂離宮を抑え、5年連続第1位に輝いている(同館ホームページ)。
 美術館には、横山大観をはじめ、竹内栖風、川合玉堂などの作品が約1,500点、さらに河井寛次郎や北大路魯山人の陶芸作品も豊富に展示されている。

 見て回っていてある絵の前でふと足がとまった。縦長の扁額に蓮の池が描かれ、そこには蓮の花を摘んでいるらしい船が5艘、手前の水面には数匹の鮒も描かれている。説明書きを見るとなんと「初夏の巨椋池」とある。京都画壇に属する落合朗風(ろうふう)が大正15年、30歳の時に描いた「洛外風趣」4幅(第7回帝展)のうちのひとつである。巨椋池が埋め立てられる以前の風景が水彩画の淡いタッチで表現されている。遠路、安来に来てまさか、かつての「巨椋池」に出会えるとは思わなかった。さっそくミュージアムショップで絵葉書を探したがリストになかったのが残念だったが、ありし日のわが種智院大学の地の風情をしのぶことができた。

                                           (明石隆行)


 

2013/09/24 06:47 | 未分類comment(0)trackback(0)  | top

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