「福祉現場における感情と理屈」

 福祉現場では、理屈どおりに物事の進まない場面があります。理屈を考えていたら、突発的な出来事に対応できないし間に合わない。その場合、不確かな直感や経験を要求されるのです。なんとなく感じたり、なんとなく気になる問題が先行し、感情による労働が優先されます。その後に、この情報は問題に関係があるのではないか?と理性的に判断し、理屈は後から遅れてついてくるものです。「大学で学ぶ理論なんて、現場では役に立たないよ!」と、ある実習生が福祉現場の職員からアドバイスされたそうです。そのとおりかも…。私も福祉現場では、理論武装していた一人だからです。理屈で話し合うよりも、「一緒にいると楽しい人」「一緒にいると安心できる人」「信頼できる人」「尊敬できる人」「謙虚な人」などの要素が前提として求められ、人に対する豊かな感性、人間関係への潤い、先輩や後輩への細やかな配慮が求められます。もし、このような態度がないとチームで仕事がすすみません。感情とは、言葉で表現できない微妙な表情をつくることができるのです。

 逆に研究とは、現場の中で狙いを定めた少数の現象だけを観察します。最初から枠組みを決めて分析するので定量化が可能になり理屈がうまれます。しかし、その理屈は最初から切り取った枠組みの中で生み出されたものなので、問題が一つだと思っていると、実は全く違う領域の問題が複数重なり合っていたことが後で判明したりします。

 社会福祉士の勉強は理屈の勉強ですが、理屈は理屈として学んでおかなければなりません。資格を取得して、ようやく現場のスタート地点に立てます。
 就職したら、1年目は周りの支援をうけながら、どんな些細な仕事も素直に一通り経験してください。2年目は失敗と反省を繰り返し、悩みながらもチームの大切さと成果をあげるための方法を見つけてください。3年目は自分だけで成し得なかったチームでの成功を体験し、組織全体に働きかけることのできる人材になってください。必ず、理屈は後からついてきます。

山下裕史

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2009/11/24 13:11 | 未分類comment(0)trackback(0)  | top

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