今こそ出発点

 この間の連休中、千葉からの大事なお客さんを案内して京都を散策した。その道すがら京都の北、紫野にある今宮神社門前の「一文字屋」で久しぶりにあぶり餅を食べた。

あぶり餅


 あぶり餅は、つきたてのお餅を親指ほどの大きさにちぎり。細く切った竹の串にさして、きな粉にまぶして1人前15本の串を3人分ほどをおこった備長炭にかざして焼いたものを絶妙な味の白味噌だれにつけたものである。御座敷にあがり、4人で5皿(お茶つき)をあっという間にたいらげてしまった。

 「一文字屋」の真向いには同じあぶり餅の「かざりや」が店を構えている。「一文字屋」は1000年の、「かざりや」は400年の歴史があるという。今宮神社の鳥居に向かって並ぶこの2軒のたたずまいは、そのまま江戸時代をほうふつとさせる。この風景ゆえに鬼平犯科帳などの時代劇のロケに使われている。デートにおすすめのスポットである。

 そのあと、あぶり餅と目と鼻の先にある大徳寺にまわり、塔頭のひとつ大仙院を拝観した。秀吉と千利休が使った茶室が重要文化財になっていたりして名刹中の名刹であるという案内があった。本堂の説明の中では、尾関(おぜき)宗園(そうえん)僧侶の今こそ出発点の紹介もあった。

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 人生とは毎日が訓練である
 わたくし自身の訓練の場である
 失敗もできる訓練の場である
 生きていいるのを喜ぶ訓練の場である

 今このしあわせを喜ぶことなく
 いつどこでしわあせになれるか
 この喜びをもとに全力で進めよう
 わたくし自身の将来は 今この瞬間にある
 今ここで頑張らずにいつ頑張る

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 まさか本堂でこの言葉を聞くとは思ってもみなかった。この言葉は大平光代さんのベストセラー『だから、あなたも生き抜いて』(講談社)に紹介されている。大平さんは中学2年生の時にいじめにあい割腹自殺を図り、その後非行に走る。16歳で極道の妻になり背中に入れ墨を入れる。しかし、養父の大平三郎さんに出会って立ち直り、中学卒の学歴を乗り越え、29歳で弁護士試験に一発で合格する。現在、非行少年の更生に努める弁護士として東奔西走している。大阪市助役の後、再婚し一女をもうけている。

 「今こそ出版点」は、養父の大平三郎さんが経営する会社の応接間にかけていたもので、それを光代さんがコピーして何度も何度も読み返し、人生をやり直そうと決意するきっかけとなった言葉である。尾関僧侶の言葉が養父の大平さんを介して光代さんに届き、その後の光代さんの人生を劇的に変えた言葉である。きっともっと多くの人々の人生、生き方に影響を与えているにちがいない。
帰り際、たまたまおられた尾関僧侶にお目にかかることができ、パンフレットに小生の名を書いていただいた。合掌                                  
(明石隆行)
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2010/01/18 00:42 | 未分類comment(0)trackback(0)  | top

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