知らないということは。

岩波新書007 風間孝・河口和也(2010)「同性愛と異性愛」(岩波新書)を読んではじめて、何も知らないことに気づかされました。性加害の人たちへの対応をしていると、さまざまに性(セクシャリテイ)の課題に直面します。加害者の多くに被害体験を持つ人も少なくありません。そんな時に顔を出すのは、自らの”常識的な価値観”です。それは多くの場合社会での多数派の意見ですが、同時に”性”に関しては最も個人の価値観が反映されるもののひとつだと思います。

 この本では、同性愛についての日本での考え方や出来事のトピックを通して、異性愛を当たり前のように考えてきた社会が検討されています。
 性(セクシャリテイ)を考えるための枠組みが説明されています。セックス、ジェンダー、性指向、性自認についてです。筆者は少々うんざりしながら説明されます。(p.166-168)

 「セックスとは生物学的な性別で身体の性別」のことです。
 「ジェンダーとは社会・文化的に性別役割分業や『男らしさ』『女らしさ』のこと」で、社会が作り上げていきます。
 「性指向とは、どちらの性(あるいは両方の性も含めて)に惹かれるかによって決められるものであり、その性によって異性岩波新書008愛/同性愛/両性愛といわれる」もので、欲求の対象についてです。
 「性自認とは自分がどちらの性に属するかという意識のこと」性別に対する自意識、または自己認識です。

 さらに、「性同一性障害とは好きになる相手の性(セクシャリテイ)にかかわりなく『心の性』と『体の性』が食い違う、あるいはそれに違和感を持つ状態」と説明されます。

 「たしかに、聞いているほうも、なんとなくわかったような気になるらしく、納得した顔になる。」といささか皮肉っぽくしめくくられますが、事実納得しました。それぞれに濃淡のある4つの軸で考えると、多数派である異性愛の立場でしか性をみてこなかったことに気づきます。

 二宮周平(2007)「家族と法 ー個人化と多様化のなかで」(岩波新書)は、家族法について書かれていますが、このなかで性同一性障害の当事者の性別や結婚、子どもについてなどがふれられています。

 「同性愛と異性愛」の腰巻きには、「『気持ち悪い!』『自分には関係ない』そう思ったあなたにこそ、読んでほしい」とあります。まさしく、そうでした。  本多 隆司

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2010/04/30 12:02 | 未分類comment(1)trackback(0)  | top

コメント

読みましたよ、この本!!
二回読みましたが、何回読んでも考えさせられる本だと思いました。

No:48 2010/04/30 22:27 | #- URL [ 編集 ]

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