GDH

 いよいよゴールデンウイークに突入しました。 
 今年はこの時期を海外旅行にあてる人がここ数年の中でも多いらしく、空港も昨年より出国組で混雑しているそうです。上海万博も開幕を迎え、トータルで7000万人の集客を見込むらしいですが、海外からの観光客の1/3は日本人を見込んでいるそうです。 
 海外旅行と言えば、かつての「豊かさ」のシンボル。
昨今、不況続きではありますが、まだまだ日本人は経済的繁栄を支えとする「豊かな生活」の神話を持ち続け、その中にドップリと浸っているというべきなのでしょうか・・・?。

 一国の経済的な豊かさをはかる世界共通の指標としてGDP(Gross Domestic Product:国内総生産)があります。世界各国は競ってこの値を高めようとして経済・産業の振興を目指しますし、我々もこの数字を取り上げて先進国か途上国かの議論をします。 
 日本が第2次世界大戦の敗戦後、焼け野が原から復興して、アメリカに次ぐ世界2位の経済大国になったというのも、この数値に依拠してのことです(ちなみに現在では中国が第2位に躍進し日本は第3位に転落したとか)。 

  しかし、この経済的数値が真に国民生活の「豊かさ」「幸せさ」を裏付ける指標になるのかどうかという点について、近時、根本的な疑問が提示されています。 

 「経済的な繁栄が人間生活の幸せに直結するものではない」という認識は、古くて新しい議論ですが、いま改めて喫緊の課題として注目されてきたという感じでありましょう。

 各国の国民が幸福だと感じている度合いを測る「国民幸福度」の調査結果がありますが、GDP追求で世界で冠たるわが経済大国・日本は、トータル平均として10点満点中の6.5点で、先進国の中でも最低だそうです。

 それに比べて、ユニークな国があります。 
インドと中国チベット地区の間に位置し、ヒマラヤ山脈にはさまれたエキゾチックな秘境の仏教国・ブータン王国です。世界の多くの国が西洋文明を受け入れて「近代化」を図る現代において、ブータンは悠々と自分たちの古来の伝統文化を保守し、独自の生活文化を残しながら、仏教と政治が一致して国民の心を豊かにしている国と言われます。

 世界各国が競ってGDP値を高めようと企図する中で、このブータン王国では国王の信念・方針として、経済・産業の発展に背を向けて、GDH(Gross Domestic Happiness:国民総幸福量、GNHとも)という指標を新たに提示し、それを国民生活の根本的な指標としています。つまり、経済やお金よりも、国民全体が幸福になることを第一とするのであります(ちなみに、ブータン国王がGDHを思いついたのは、かつて日本などの経済大国を視察で訪れた際に、あまり幸福感が感じられなかったからだとか・・・。) 

 そのような国是の中で、近年の各種の調査でも、ブータンでは国民の97%が幸福だと感じ、国民幸福度も世界でもトップクラスです。

 いま日本でもこのようなブータンへの注目が高まっており、政府や自治体もそれに倣ってGDHを高めるような福祉施策への転換を徐々に打ち出すような流れが一部で出てきていますが、その一方でまだまだ経済依本主義は揺るぎなく強固であります。しかし、近い将来に、幸福をめぐる真のパラダイム・シフト(抜本的変革)が要請されていると言うべきでありましょう。

 ・・・ゴールデンウイークに実際に海外出国は果たせませんが、豊かなる東洋の秘境・ブータンへ思いを馳せながら、徒然なるままにそのように感じる今日この頃であります。

ブータン ブータンの首都ティンプーの風景

 → 参考
  ・本林靖久『ブータンと幸福論―宗教文化と儀礼』 (2006年12月、法蔵館)
  ・アスペクトブータン取材班『幸福王国ブータンの智恵』(2009年6月、アスペクト)

                       合掌(^∧^)

佐伯俊源

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2010/04/29 12:00 | 未分類comment(0)trackback(0)  | top

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