「コミュニティ・オーガニゼーション・プロセス」~交野市・地域づくり会議と地域福祉活動計画~

 交野市では、安心して暮らせる福祉のまちづくりをめざして、小学校区ごとに地域づくり会議を開催しています。この地域づくり会議をもとにして、地域のネットワークづくり、地域のパートナーシップ関係、地域で発生する問題の共有、福祉人材の育成、協働によるイベント開催、住民参加による政策づくり、そして地域福祉活動計画に反映させていきます。この実践の基盤となる理論は、Ross, M.G.(1955)Community Organization, Theory and Principles.(=岡村重夫訳,1963『コミュニティ・オーガニゼーション-理論と原則-』全国社会福祉協議会.)です。コミュニティ・オーガニゼーションの意義と発展については、以下で説明します。
  1)ニューディール政策と社会保障法
 民主党出身のフランクリン・D・ルーズベルト(Roosevelt,F.D.)がアメリカ合衆国の第32代大統領に就任した1933年には、銀行が次々と倒産の危機に追い込まれ、アメリカ資本主義体制における大恐慌の影響により失業率は29.4%までに達しました。ルーズベルト大統領(1933-1945年)によるニューディール政策はアメリカ合衆国の経済を世界恐慌から回復させ、第二次世界大戦後にまで続くアメリカ型福祉国家の起点となったことは確かです。ルーズベルト大統領の所産となったニューディール政策のもとでは世界初となる「社会保障法」が1935年に制定され、所得保障の分野で世界に強い影響を与えました。この「社会保障法」とは、老齢年金と失業保険、及び3種類の特別扶助と若干の社会福祉サービスによって構成されています。さらに、ソーシャルワーカーが制度的に位置づけられることになり、連邦政府や州政府に雇用されることで社会的進出がめざましく進みました。ところが、アメリカ合衆国の社会福祉に関して、制度・政策の側面での執行能力については、連邦政府・州政府に雇用されたソーシャルワーカーは、リーガリズム的対応になりやすく、制度上における範囲内で生活課題に対応するために、変化しやすい人間の個々の必要(needs)に対して柔軟性のある対応が不可能であったようです。
  2)レイン報告(Lane Committee Report)
 ニューヨーク市福祉協議会会長などを歴任したレイン(Rane, Robert P. 1891~1953)は、コミュニティ・オーガニゼーションの討議計画に関する起草委員会の報告(Report of Drafting Committee on Project for Discussion of Community Organization)を委員長としてまとめ、全米社会事業会議に提出しました。委員会委員長がレインであったことから、レイン委員会報告(1939)ともよばれます。この報告では、コミュニティ・オーガニゼーションを科学的な概念として定義するのみでなく、「ニーズ・資源調整説」を体系的に示したものであり、住民参加の概念をコミュニティ・オーガニゼーションに導入しました。レイン委員会報告は、コミュニティ・オーガニゼーションの固有性と体系化に大きく寄与したのです。
  3)マレー・G・ロス(Ross, Murrey; 1910 -)のコミュニティ・オーガニゼーション 
 コミュニティ・オーガニゼーション(Community Organization: CO)はケースワーク、グループワークと並ぶソーシャルワークの技術のひとつです。1939年のレイン報告による「ニーズ・資源調整説」、1947年のニューステッターによる「インター・グループワーク」、1955年マレー・G・ロスの「地域組織化説」として引き継がれていきます。ロスは、カナダ、トロント市のヨーク大学社会事業準教授の当時、Community Organization, Theory and Principles(1955)を出版し、この翻訳版として1963(昭和38)年に岡村重夫が『コミュニティ・オーガニゼーション-理論と原則-』(全国社会福祉協議会)を公刊しました。
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コミュニティ・オーガニゼーションの理論が、よりよい福祉コミュニティづくりの実践に反映されるよう取り組んでいます。

交野市地域づくり会議開催中!
http://www.city.katano.osaka.jp/kakka/syahuku/hureai105.pdf

(山下裕史)

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2010/05/18 19:00 | 未分類comment(0)trackback(0)  | top

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