老人ホームは迷惑施設か?

 神戸市内のあるケアハウス(軽費老人ホーム)が当初の予定から8カ月遅れて4月にオープンした。先週の金曜日にその施設長から開設のご苦労について聞く機会があった。一番苦労したのは建設にあたって地域住民から猛反対があったことである。「とにかく老人ホームができることに反対する」、「何も住宅街に建設することはない」、「道路が狭い(老人ホームの車が頻繁に出入りすることを懸念してのことであるが、そうではない)」がその主な理由である。

施設の建設について以前は、「地価がさがる」「水路が汚れる」などといったことが主な反対理由であった。今ではそのようなことは言われなくなったが、「老人ホームそのものがいや(迷惑施設)である」という住民のなかにある拒否感が根強いことは変わっていない。ちなみに施設を作ろうとしたときに、地域住民から強い反対運動が起こり、建設計画が頓挫したり大きな譲歩を余議なくされることを施設コンフリクト(衝突)とよんでいる。今回もそれである。

ホーム側では6回にわたって住民説明会を開き、住民の要望をできる限り受け入れ理解をしてもらえるよう努力を重ねてきた。例えば、ホームの壁は圧迫感があるのでなんとかしてほしい、ということには壁の色を緑色に変え植樹を行う。ゴミ置き場の場所を変えてほしい、ということには、場所を変え図面を引きなおす。厨房の廃棄ダストからはにおいがするということには、消臭装置を間に入れて構造的にも変える。建物の色も住宅街にふさわしい色をということには、住民と話し合って色を決めた。看板も出さないでということには、そのとおりにした。結局、当初の設計図を大幅に修正してやっと開設できたとのことである。
また、職員用の駐車場に通じる道路に面している住宅には1軒1軒訪問して、職員の車が道路を使用することについても理解を求めてまわった。
 
この施設長37歳と若いが、そのご苦労には頭がさがる。そこまで地域住民の要望を聞き入れなくてはならないのか、と言いたくなるほど根気強く説明をするとともに住民の要望を受け入れ、真摯な態度で向き合うことが住民の理解を得ることにつながっていったのではないか、とお話を聞いていて思った。

 入居前の見学会である内覧会には地域住民の方々が多く訪れ、ホームのベランダから自分の家の方を見て目隠しをしないといけないのではないか等との声も聞こえたという。反対も収まり運営がスタートし、定員を充足させることが施設長のもうひとつの苦労ではあるが、こちらのほうは順調にいっている。入居者のなかにはなんと、猛反対の先頭にたっていた住民のご家族もおられるということである。
(明石隆行)

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2010/05/24 00:42 | 未分類comment(2)trackback(0)  | top

コメント

地域住民の理解と連携を
得る難しさと大切が混合してますね。

No:50 2010/05/24 08:31 | #- URL [ 編集 ]

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No:99 2013/09/23 12:11 | # [ 編集 ]

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