べてるの家

 以前に、私が所属する「差別をなくす奈良県宗教者連帯会議(奈宗連)」の活動について紹介させていただきました(長島愛生園の桜の植樹)。その「奈宗連」の年次総会が、去る5月24日(月)に奈良県社会福祉センターで開催され、それに参加してきました。本年は総会に引き続いて、精神障害に関わる記念講演を聴講しました。

 講師は、向谷地生良(むかいやち・いくよし)という精神科のワーカーの方で、演題は「心病む人達と宗教~降りてゆく生き方」。
べてるの家01

 向谷地氏は、北海道浦河町にある社会福祉法人「浦河べてるの家」の理事をなさっています。北海道の東南の襟裳岬にほど近い自然環境に恵まれた人口1万5千人の小さな町、浦河町にある「べてるの家」は、1984年に設立された精神障害等をかかえた当事者の地域活動拠点です。そこでは、当事者の社会参加を支える充実した支援プログラム、投薬量が全国平均の3分の1、病床数削減など、先進的な取り組みがなされており、それらの方式は「べてる流」として全国的に注目を浴び、日本の精神保健におけるベスト・プラクティスのひとつにも選ばれている有名な施設だそうです。(因みに、この施設のことを私も前から知っていたわけではなく、このたび初めて知ったのですが・・・)。
  → 詳細は、社会福祉法人・浦河べてるの家 HPを参照。
     http://www18.ocn.ne.jp/~bethel/

 当日の講演では、精神障害の病理的説明、歴史的推移、精神病患者に対する差別や偏見、支援プログラムなどについて、とてもわかりやすく解説をいただきました。また、実際の「べてるの家」のメンバー(利用者、当事者)のお2人もコメンテーターに交えながらの講演だったので、現場での日々の雰囲気もよく伝わり理解できました。その中で、特に印象深く面白かったのは、精神障害にまつわる以下のような「べてる流」の言い回しでした。

 ★「大変だ!。病気が治っちゃった!」
 ★「やばい!はやく病気にもどらなくちゃ・・」
 ★「お願いですから、幻聴だけはとらないで」
 ★「病気が治ったら、失業します」
 ★「病気でしあわせ、どうか治りませんように」
 等々

 いずれも一見「えッ」っと意外に思う言葉ですが、すべて「べてるの家」の当事者の方々の生の言葉だそうです。決して逆説的言い回しでもなく、そのままの直言のようです。

 精神障害については、さまざまな捉え方があるのでしょうが、ただ単なる脳の器質的な病気ではなく、現代社会の歪んだ社会関係や人間関係の中で、人間が自然に対応した結果に生じた状況という見方に基づくようです。ですから、精神病統合失調症で、妄想幻聴などの症状が出ることは、決して不自然でマイナスな状況ではなく、人間本来の姿の一端であり、それを当事者が生活を共にする中で、苦しみを共有しながら一緒に悩み合うことが大事で、それこそが「生きる」ことの本質なのだという主張と、私は受けとめさせていただきました。
 それはそれで、とてもユニークな考え方だな、と思った次第であります。
べてるの家02 
べてるの家03 

                    合掌(^∧^)
佐伯俊源

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2010/05/27 19:30 | 未分類comment(1)trackback(0)  | top

コメント

治りませんように

 奇しくも『治りませんように べてるの家のいま』(斉藤道雄 みすず書房 2010年)を読み終えたところです。べてるの家の活動のことはもちろん、精神障害者の世界を10年間のインタビューを紹介しながら書かれています。やさしくもかみごたえのある本です。精神障害者のことを学ぶ人には必携です。再度、読みなおそうと思っています。明石隆行

No:51 2010/05/28 07:24 | takayuki akashi #FPT5kgNs URL [ 編集 ]

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