心の病と社会

「依存症、ADHD、学習障害、境界性人格障害、過換気症候群、
過呼吸症候群、潔癖症、強迫性障害、摂食障害、過食症、嗜癖(しへき)、アダルトチルドレン、
社会不安障害、神経症、心的外傷後ストレス障害、解離性同一性障害、適応障害、パニック障害、
対人恐怖症、心身症、自律神経失調症、そううつ病、統合失調症・・・」


これらは、過去10年間に新聞・雑誌の見出しを飾った「心の病」の名称の主なものだそうです。(2007,芹沢他「時代がつくる狂気:精神医療と社会」)
たくさんありますね。
また、1960年代以降、心の病=“ノイローゼ”が主流であった新聞記事は、1980年代以降、上のように少しずつ細分化されていきます。“ノイローゼ”の内容は、団地ノイローゼ、育児ノイローゼ、受験ノイローゼ、仕事ノイローゼ・・・と家庭や職場、学校での人間関係の複雑さやその時代の社会を写しだしているようです。
戦後復興期~高度経済成長期における、産業化、工業化、都市への人口集中、高学歴志向、高齢化、核家族化・・・などの。
「心の病は増えている」「心の健康に気をつけて」という報道は、その実際に関わらず、いつの時代も行われてきたのが事実です。

「精神保健福祉論」の授業では、いろいろな文献を少しずつ読んでもらったり、学生に意見交換やコメント記入をしてもらうのですが、
「心の病は、増えたのか?それとも社会が作ったのか?」
「ノイローゼ、という言葉は今は聞かへんなぁ。なんか懐かしい感じもする」
「パニック障害などは芸能人が告白したりしてよく聞く」
「精神疾患はグレーな部分が多すぎる」
「ストレス時代だからこそ、心の問題に目を向けるべき」
「ノイローゼ=”インテリ”病、という表現(当時の解説)はふしぎ、違和感が・・」
などの意見が。

授業のここ数回は、明治・大正~昭和初期にかけての精神医療・精神障害者福祉の歴史を学んでいます。
「ヨーロッパの精神病院は監獄から出発し、日本の病院は寺院から出発した、といえる」(2002、八木「日本精神病治療史」)
ともいわれるように、日本においては、仏教や民間治療の役割も大きいです。
医療や福祉の制度の変化、医学の進歩とともに、社会における“心の病”のとらえ方も変化しています。いや、逆かもしれません。社会が”心の病”を規定してきた部分もある・・・

100年以上前の日本と現代、戦後から今、時代を前後しながら、”心の病と社会”について、しばらく一緒に考えていこうと思います

(豊田志保)

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2010/06/02 09:44 | 未分類comment(0)trackback(0)  | top

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