薬物離脱のためのワークブック

  本の紹介と趣味の話を交互しているだけで、まことに芸がありません。イタメシの作り方を書こうと思いましたが、順番にしたがって今回は勉強関連です。ごく最近、大阪市内の書店で買ったものです。びっくりしました。

 藤野京子・高橋哲・北村大(監修)(2007)『薬物はやめられる!?薬物離脱のためのワークブック』財団法人矯正協会 700円

 「薬物乱用」は薬物を社会で認められない目的や方法で使用することRP.jpg、「薬物依存」は薬物をやめようと思ってもやめられない状態ですが、これらは病気であって放っておくとどんどん悪くなると教育しま す。

 薬物使用がもたらす自分にとっての損害と利益を検討し、止めることによる長期的利益を得るために変化に動機づけます。これは「動機づけ面接法」の応用です。
 さらに考え方(認知)は感情や行動を結びついているという「認知行動療法」を説明し、自分の考え方を変えれば行動や気持ちは変えられると説きます。

 こうした心理教育によって薬物から離脱しても再使用しては元も子もありません。そこで導入されるのが、「リラプス・プリベンションRelapse Prevention」という方法です。リラプスとは再発とか逆戻りという意味で、治療や指導を受けたにもかかわらず薬物を再使用することです。プリベンションは防止です。
 「リラプス・プリベンション」では、考え方、感じ方やその内容、行動などを一連の連鎖を“サイクル”と呼びます。まず、なにも問題のないいつもどうりの平穏な状態があります。ところが、時にちょっとした「きっかけ」がおこります。家族から小言を言われたとか、職場であいさつしたのに無視されたとか、直接には薬物とは結びついてない状況です。しかし、イライラするから1回くらいはいいだろう、その気になればいつでも止められる、など「一見重要ではない決定」をします。飲酒、喫煙、パチンコなどを考えてみるとそうした場面はいくらでも?思い出されます。それらが積み重なって、再使用の危険性の高い状態におちいり、再び薬物が使用されます。

 各段階のサイクル、悪循環ともいえますが、薬物を使用していたのはそれぞれの段階での対処(コーピング)が不十分で不完全であったからだと考えます。それを修正するために、サイクルを本人が意識し自分でコントロールできるように、危険性の高い場面への感受性を高めその対処法を治療者といっしょに考え、行動のレパートリイとします。そこには「一旦立ち止まって考える」という小さいことですが、有効な対処法も含まれます。こうした行動を本人が実行しうまくいけば、“やってみればいまくいくもんだ”というちょっとした自信、いいかえれば自己効力感を感じることができるかもしれません。

 このリラプス・プリベンションという治療モデルは、性加害者対象のプログラムにもなっており、私たちも実践しています。秋学期に開講する更生保護制度の教科書にも実はでてきます。
 以前、このページでご紹介したカナダのSNAPという子どもの反社会的行動としたプログラム、授業でもご紹介したセカンドステップというプログラムにも少し重なる部分があります。
 財団法人矯正協会http://www.kyousei-k.gr.jp/ の文化事業のページからも購入は可能なようです。  本多隆司

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2010/08/06 12:44 | 未分類comment(0)trackback(0)  | top

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