誰も知らない

児童虐待の事件は後を絶たない。
とくに、大阪市西区で起きた、虐待死の事件は、
いたいけな2人の子どもが、母親の育児放棄の末に死に
至ったこととして、その事態の悲惨さから、連日報道されていた。

この事件のニュースを知って、思い出した映画がある。

「誰も知らない」(公式HP)

誰も知らない1

この作品は、実際に起きた事件をモチーフにしている。
1988年、東京の巣鴨で、4人の子どもを残して母親がいなくなってしまい、
子どもたちは自分達だけで半年間生きるけれども、末の妹が死んでしまった。

映画「誰も知らない」は、その事件の流れをふまえて、
しかし、劇中のエピソードや登場人物の感情などは、フィクションで創られた作品。

「誰も知らない」のあらすじ(←クリック)

「お母さんはしばらく留守をします。弟妹をよろしくね」
書き置きと現金20万円を残し、突然家を出て行った母親。
母親が帰る日を待ちながら、
誰にも知られることのない4人の子どもたちだけの"漂流生活"が始まる。

誰も知らない2

明は母親代わりになって、賢明に弟妹の面倒をみる。
しかし、12歳の明ひとりで、弟妹の生活を支えることなどできない。
手持ちのお金は尽き、家賃、光熱水費の支払いも滞る。
衣食住もままならない。学校にも行けない。

誰も知らない3

誰も知らない4


そんなある日、明は近所の子どもに少年野球に誘われる。
ずっと、きょうだい4人だけの「誰も知らない」生活から
はじめて外の世界へ出て、社会に参加する歓びを味わう。
だがその間に、末の妹ゆきが椅子から落ちてあっけなく死んでしまう。

誰も知らない5



この映画を観たのは、もう何年も前のことで、記憶を辿りながら
このエントリーを書いているが、
いまでも、私の印象に残っているのは、大人の不在、だ。

家賃や光熱費の支払いが滞ったり、
公園で水をくんでいるボロボロの衣服の子どもを見かけたら、
周りの大人が気づくことはないのだろうか。そこに気づく大人はいない。

まさに、「誰も知らない」というタイトル通り、
子どもたちの存在そのものが、「誰にも知られない」。
存在そのものが社会に知られないままに、
生きる(死ぬ)「生」が在るということ。

そのことが、ずしんと心に残った。

最後に、
この映画に、谷川俊太郎が詩を寄せている。引用しよう。

生れてきて限りない青空にみつめられたから
きみたちは生きる

生まれてきて手をつなぐことを覚えたから
きみたちは寄り添う

生まれてきて失うことを知ったから
それでも明日はあると知ったから

きみたちは誰も知らない自分を生きる




さて、久々に観てみようか。



砂脇 恵




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2010/08/24 00:09 | 未分類comment(0)trackback(0)  | top

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