男もつらいよ:男子に必要な介護力

 
 ながらく夫婦2人で暮らしていた80歳になる母親ががんで長期入院した。86歳の父親は認知症の症状がでだした。親友の両親のことである。中学生・高校生のころよく泊めていただいものだ。しょっちゅう泊るものだから、おばあちゃんが専用の布団を縫ってくれたりした。そこまでお世話になったお宅である。その彼も今年で60歳、定年を迎えた。年金が満額支給されないので再就職を、と思っていた矢先のことである。結局、両親の介護に専念するため再就職をあきらめた。

 自分の家とは違って人格者のご両親であった。あった、というのは認知症のお父さんが想像できないような変わりようなのである。大声をあげたことがないような人がどなるようになったり、暴力的な言動が時々みられるようになってきている。そればかりが、世話をしている息子のこともわからないような時もあるという。昼食の世話をしていると、「ただ飯を食いにきている」と悪態をついたり、近所に行っては、「眼鏡をかけた男が来ている」と自分の息子のことをそんなふうに話しているという。時々、来てくれる二男にはそのような言動はでないという。今年の猛暑のなか、一生懸命に世話をしているのに、そんなこんなで今度は穏やかな性格の彼が切れてしまうことがたびたびだという。

 長男の彼が中心になって、二男、三男が交代で入院中の母親と父親をみている。家族の介護と介護保険のサービスで支えていくことになるが、それが結構難しい。家族、息子たちといっても仕事を持っていたり、これまで紡がれてきた家族関係というものがあり、その連れあいも「はい、みますよ」ということには、なかなかならないような事情もある。介護保険を使うとなると直接サービスを利用する本人さんが了解してくれなくては利用できない。それがまた理解というか了解をしてもらうことが至難であるという。

 お父さんの言動は「認知症がなせるわざ」であり、認知症の特徴とその対応について説明し、介護保険サービス利用への結びつけるには、ケアマネジャーの協力を求めるように話しをして4時間近くのひさびさの再開を終えた。夏休みに会おうと連絡をとりあっていたが、彼の介護の都合でなかなか会えなかったのである。介護をしている人は、相談をしたり、必要な情報を手にいれる時間さえなかなか作れないものである。また、男子には、家事力だけでなく介護力も必要な時代がやってきているのだと、親友の苦労を聞いていてつくづくそう思った。

息子が親を、夫が妻というように、介護者のうちに占める男性の割合が5人に1人、4人に1人・・・・と年を経るごとに増えてきている。こうしたことを反映して、昨年には「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」が結成されている。

男性介護者と支援者の全国ネットワーク
男性介護者と支援者の全国ネットワーク(略称:男性介護ネット)は2009年3月に発足し、男性介護者と支援者の全国的なネットワークづくりを進めています。そして、介護する側もされる側も、誰もが安心して暮らせる社会を目指して、男性介護者の会や支援活動の交流及び情報交換の促進を図るとともに、総合的な家族介護者支援についての調査研究や政策提言を行っています。

(PDF/88KB) 〒603-8577 京都市北区等持院北町56-1
立命館大学人間科学研究所気付
お問い合わせ
TEL&FAX:075-466-3306
info@dansei-kaigo.jp

(明石隆行)

関連記事

2010/09/27 00:42 | 未分類comment(0)trackback(0)  | top

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

 | BLOG TOP |