出会った言葉シリーズ(5) 家事はライフキーピングだ!
本を読んでいると「ああ、なるほど」と思うことがよくあります。本を読むというのはそういう効用も期待してのことです。「家事は、どの方面から分析しても『ハウスキーピング』ではなく『ライフキーピング』というべきです」という主張にはなるほどと思いました。
(この季節、これが一番)
料理研究家の大御所、辰巳芳子さんが『いのちの食卓』(マガジンハウス文庫)で子どもの教育に関して次のように続けておられます。
「『教育とは何か』・・・最大の目的は、自分の命を守っていける子を育てることです。・・・お料理を教えるのも、お掃除を教えるのも、整頓を教えるのも、お金の出し入れの稽古をさせるのも、すべて、生きて、自律し、自律できる人格を作るための、ひとつの手段である」
(ハート型にあがった花火)
「家の事」と書く家事は、「家庭内の大小いろいろの仕事のこと」とそのままの意味が広辞苑に出ています。どれくらい昔からか知りませんが、少なくとも近代日本になってからか、「家事」は外でする仕事(賃労働)に比べてどちらかというと低くみられてきました。「仕事をしてもお金にならない陰の仕事」という意味で「シャドーワーク」とも呼ばれています。
辰巳さんは、家事は「ハウスキーピング」ではなく「ライフキーピング」であるとさりげなく言ってしまわれていますが、このことはすごいことのように思います。つまり単に「家庭内の大小いろいろの仕事」ではなく、「自分の命を守っていける子を育てる仕事」であるということですから。
70歳、80歳・・・と誰もが長生きでき、高齢者夫婦だけの生活や高齢者の一人暮らしがスタンダードになってきた社会では、辰巳さんのライフキーピングと言う考え方はより重みをもって響いてくるのではないでしょうか。というのも、高齢者たちにとって家事は単なるハウスキーピングなんかではなく「生活や命を守るライフキーピング」なのですから。
(犬も長寿。散歩に介護が必要に。)
(明石隆行)
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2011/08/01 00:46 | 未分類 | comment(0) | trackback(0) | top
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