不連続シリーズ「社会福祉のもうひとつの現場(10)」閉じこもり高齢者対策 その1

 明けましておめでとうございます。今年は平穏な年でありますように。
 昨年の言葉に選ばれた「絆」は、これからも重要なキーワードとなることは疑いのないところである。しばらくは「高齢者の絆」についてブログしたい。

 一人暮らし高齢者の閉じこもり対策に力を入れる市町村が増えてきている。大阪府下のD市でも、一人暮らし高齢者の安否確認のため、民生委員や地域住民による見守り、配食サービス、介護予防のための体操教室などを行うほか、万が一の時のために「SOSカード」を配布するなどの多方面にわたる取組を行っている。さらに今年度から「閉じこもり高齢者対策委員会」を設置しその対策の強化に乗り出している。

 ご存じのように、わが国の男女の平均寿命が世界一のレベルになり、国民の多くが長寿をまっとうすることができるようになって久しい。まだまだ伸びて女性は90歳くらいまで長生きできそうだ。
 こうしたことに伴い65歳以上の世帯では一人暮らしが3割から4割に増えていくことが確実視されている。つまり、長生きする一人暮らしの高齢者が増えていく社会を迎えているわけである。

▼よくある閉じこもり高齢者の例▼
 夫を亡くし2人の子どもとは別居している一人暮らしの74歳の女性。退職後、ながらく「絵手紙」を趣味としていたが、自転車で転倒してからは、あまり外出しなくなった。近所づきあいもない。その後ADL(日常生活動作)が低下し生活するのが困難になっていた。見守りによってホームヘルパー(介護保険制度)の利用に結びついた。

 年をとると、今までできていたことがだんだんとできなくなってくる。運転していた車に乗れなくなる、自転車にも乗れなくなる、買い物の荷物を持って自宅に戻ることができなくなる、布団の上げ下ろしができなくなる。日常生活のなかでできないことが増えていく。
 また紹介した女性のようにちょっとした事故や病気によって、外出しにくくなり、自宅に閉じこもりがちの毎日が続くようになる。これまで通っていた趣味の会合にもだんだんと足が遠のく。そうこうしているうちに体力が落ち、ますます外にでにくくなる、という悪循環に陥ってしまう。

 さらに一人暮らしの場合、食事も簡単に済ますことが増え、その結果栄養のバランスを崩すことになったり、それが病気につながったり、持病を悪化させることにもなっていく。ひいては入院が必要になったり、介護保険サービスを利用するようにもなる。最悪の場合、自宅で倒れてそのまま息を引き取り、死後かなりたってから発見される、いわゆる孤立死することにもなりかねない。
 紹介した女性の場合は、いつの間にか閉じこもり状態となり地域とのつながりが切れてしまっていたが、幸いにも社会福祉協議会に配属されているコミュニティーワーカーの見守りがきっかけとなり社会とのつながりが戻ったケースである。

 地域とのつながりが切れ、一人自宅に閉じこもっている状態は決して人間らしい生活とはいえず、結果的に医療費や介護給付費の膨張につながり社会的にも大きな損失となる。市町村では地域福祉計画を策定し高齢者の見守り、安否確認のための事業を推進しているが、地域との絆が切れ、人知れず閉じこもりがちになっている高齢者に支援の手を差し伸べることができるよう体制強化についての検討が続いている。
(明石隆行)

関連記事

2012/01/02 22:41 | 未分類comment(0)trackback(0)  | top

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

 | BLOG TOP |