歌は世につれ

 


 歌は時代の写し鏡である。その時代、その時代が反映されている。
 歌には人生を歌ったものも数多くある。有名なところでは、美空ひばりの「川の流れのように」は国民的な人気がある。「マイウェイ」(フランク・シナトラ)は男性によく歌われる。
 ここのところ歌うようになったものに「人生の扉」がある。竹内まりやの作詞・作曲(2004年)である。合唱でそこそこの人気がある。学生で彼女を知っている人はあまりいないと思う。というのも10年前に50歳を過ぎている人だから。とにもかくにもこの歌詞に共感した。間にはいってくる英語の歌詞が今の、そしてこれからの高齢社会を雄弁に物語っているのが面白い。もちろんメロディーも。

 桜の時期、花見に出かけるたびに思うことがある。この咲き誇っている桜をあと何回観ることができるだろか。たわわに実った黄金色の稲穂を見ては、これもあと何回目にすることになるのか、なんて。いつも感傷的になるわけではないが、ふとそんな気持ちになることがある。それは「年のせいやで」という声がどこからか聞こえてくる。そう、若かった頃にはついぞ心に湧いたことがない感情である。

 春がまた来るたび ひとつ年を重ね
 目に映る景色も 少しずつ変わるよ
 陽気にはしゃいでた 幼い日は遠く
 気がつけば五十路(いそじ)を 越えた私がいる
     (省略して)

 満開の桜や 色づく山の紅葉を
 この先いったい何度 見ることになるだろう
 ひとつひとつ 人生の扉を開けては 感じるその重さ
    (また省略して)
  
                  縮小版 紅葉
                               (クリップアートから)

  I say it’s fine to be 60     (60歳って元気だと言うと)
  You say it’s alright to be 70  (あなたは70歳でも大丈夫だと言う)
 And they say still good to be 80 (みんなは80歳でもまだまだいけると言う)
 But I’ll may be live over 90   (たぶん私は90歳以上生きるだろう)
                   (これ以下も省略す)

 人生を歌った歌で、80歳、90歳以上という長寿の歌詞が出てくる歌を他に見つけることは難しいのではないか。100歳以上の人のことを百寿者(Centenarian)と言うが、今年の9月の厚生労働省の発表では58,820人になった。まだまだ増えていきそうで、「たぶん私は100歳以上生きるだろう」という人が珍しくない時代を迎えている。歌は世につれ世は歌につれ。

                                                                  (明石隆行)

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2014/10/21 08:12 | 未分類trackback(0)  | top

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