発達の最近接領域

 知的・発達障害者に関連した文献を読むと「発達の最近接領域」という概念を目にします。1934年に38歳で亡くなったソヴィエトの心理学者ヴィゴツキーが提唱しました。『思考と言語』(手元にあるお借りしたものは、ヴィゴツキー著 柴田義松訳、明治図書、1962) などの著作で発達心理学や教育心理学に大きな足跡を残しました。

 ヴィゴツキーは「子どもの発達の二つの水準を明らかにしなければならない。」と主張します(前掲書下巻p.266)。そのひとつは、「子どもの現在の発達水準」です。
もうひとつは、ここが大事ですが、自分の今の実力では独力で解くことができないけれど、「教示、誘導質問、解答のヒントなどをあたえながら」、あるいは「共同でのなかで助けられ指示にしたがいながら」挑戦すればすぐ上のレベルの課題が解くことができる水準がある。模倣や大人の援助などがあと押しすると可能になるレベルです。

 自力で問題解決できる現在の発達水準と他者からの援助や他者との共同により達成できる水準のずれを「発達の最近接領域」とヴィゴツキーは呼びました(有斐閣心理学辞典)。このズレを有効に活用することが教育などにおいて求められるとしました。
 今の能力よりもはるかに高い課題を与えられれば、多くの人はやる気を失ってしまいます。逆に簡単すぎても、次への意欲がわきません。ヴィゴツキーは「発達に先廻りする教育がすぐれている(前掲書下巻p.270)」と主張します。先廻りというより少し先行した課題レベルという意味でしょうか。教育や発達支援には重要な進め方ではないかと思います。

 今、校正作業をしている刊行予定のワークブックの解説風あとがきでこの「発達の最近接領域」を念頭において、

障害等の特性により説明や課題が今のワークブック利用者のレベルでは理解が難しい場合には、具体的に想定できる場面などをヒントに、目前にあって手を伸ばせば届きそうな理解内容を提示することも考えられよう。
と書きました。スパッとこの術語を出した方がよかったかな。
Dolce Super Sax1103
 閑話休題。宣伝です。私が通っている大阪ドルチェ楽器の総勢20人あまりのサックス・アンサンブル、Dolce Super Saxphonesが梅田(の外れ)のライブハウス「梅田Always」http://www.always-live.info/index.htmlで発表会をします。ビラには1st ワンマンライブとありますが、ちょっと気恥ずかしい。チャージ1,000円+ワンドリンクとは申し訳ないところです。
 全員で11曲に小林充先生が数曲演奏されますですが、足はがくがく、くちびるはヨレヨレになりそうです。ステージ上の照明は強烈で目もチカチカ。と、こうやって書いているだけでも緊張が走ります。クレー1
 兵庫県立美術館のパウル・クレー展http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1509/へ行きました。「だれにもないしょ」とのなぞめいたタイトルです。抽象的な断片を組み合わせたかに見える全体は具体的ですが、つけられたタイトルによって再び抽象化される、こうしたプロセスが見る者のなかに生じます。
 自宅から自転車で行きましたが、最近めっきり自転車が増えました。ロードバイクは花形です。   (ホンダタカシ)
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2015/10/23 20:12 | 未分類trackback(0)  | top

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