子ども時代の逆境体験はなぜ問題なのか

 トラウマをうむ子ども時代の逆境体験は、どのような問題をもたらすのでしょうか。先々回にふれた、レベンソンとウイリス(著)「性犯罪者に対するトラウマ・インフオームド・ケア」の内容紹介を続けます。

 反社会的な問題行動をした人に子ども時代のトラウマとなる逆境経験が多いことは多くの研究から示されています。逆境経験の多くは以前にご説明したように、虐待のほか養育機能が低下した家庭生活です。それらを体験したからといって問題行動による責任がなくなるわけではありません。

  『トラウマを生むような子ども時代の経験は、攻撃・逃避反応(ストレス事態への対処のための自律神経系の働き)に応じてストレスに関連したホルモンを増産され、神経(ニューロン)の成長と接続を阻害する』とレベンソンとウイリスは指摘します(訳は一部改編しています)。逆境体験はこころへの影響だけでなく身体の成長発達をも妨害します。

 さらに、『こうした変化は、感情の調節異常、社会的アタッチメントでの障害、認知の問題のような影響を持続させる一因となる』と彼らは説明します。感情の調節異常とは、例えば怒りだすとなかなか止まらない、などうまく収められない状態です。社会的再校アタッチメントの障害とは、人間関係がうまくいかない、相手が戸惑うくらいベタベタしすぎる、あるいは逆にそっけない、など。認知の問題とは、物の見方が偏ったりすることで、何でもかんでも悪くとるとか悲観的すぎるなど理解の仕方の問題です。

 このように子ども時代の逆境体験は大変な問題をもたらし、問題行動につながりやすくなります。では、どのようにアプローチし支援すればいいのか。「トラウマ・インフオームド・ケア」の議論は続きます。

Levenson, J. S., &アルウイン Willis, G. M.(2016). Trauma-Informed Care with Sexual Offender. In M. S. Carich & S. E. Mussack (Eds.) Handbook of Sexual Abuser Assessment and Treatment. The Safer Society Press.pp.243-269.

閑話休題。3月から続いている校正の作業も大詰めです。書き漏らしや誤りはないかと不安にもなります。タイトルについても検討しましたが、最後は編集者、共著者との「の」とするか「が」とするかの議論になりました。順調油彩に行けば、5月中旬の刊行だそうです。
   寝る前に「アルウインの楽しい絵画教室」アルウイン・クローショー(著)山本宏一(訳)岩崎美術社(1998)、という本を見ながら、模写で油絵の練習です。素人以前のレベルから表現にまで高めるのは大変です。模写は形の見方、色の重ね方、遠近法など学ぶところが多い方法です。これまで軽くみていましたが反省です。単色で下絵を描く技法もありましたが、これは難しい。 
   (ホンダタカシ)

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2016/04/15 20:54 | 未分類trackback(0)  | top

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