わかりやすく翻訳する


 今週初めに3回目の校正が終り、連休明けには刊行される予定です。大変長いタイトルです。書店に並ぶほどたくさん刷られるわけでもなく、また誰もが手にする本とも言えませんのでひっそりと。
 『性問題行動のある知的・発達障害児者の支援ガイド ー性暴力被害とわたしの被害者を理解するワークブック』
 
 最後に手こずったのは、性行動と性問題行動との関連を論じた部分に引用した翻訳文でした。原著はこうです。
Blasingame2005.jpg
Sexual behaviors exist on a continuum, related to their use in adaptive functioning versus malaadaptive functioning.  (Blasingame, 2005, p.81)

 最初の訳は「(性行動は)適応的機能から不適応的機能にわたる行動に関連した1つの連続体」でした。原著を少し省略した訳でいささか正確さを欠いています。
 次いで、「性行動は、適応機能としての行動と不適応機能の行動が対比された連続体のなかに存在する」直訳に近いものに変えましたが、今度は意味が取りにくくなりました。

 分かりにくさの1つは continuum という語です。どの辞書にも「連続体」とありますが、今一つピンときません。「その中のどの点を取ってもその近くの領域と明確に区別できないような広がり。」(英次郎on the web Pro アルク)の説明でようやく分かります。
 阪神vs巨人の versus ですが、適応的機能 adaptive functioningと不適応maladaptive functioningが対立しているわけではなく、 連続体continuum の一方の端に適応的、もう一方の端に不適応があると解釈しましたその中のどこかに性行動は位置する、簡単にどちらかに区分することは難しい、との理解です。

 their use も少々ややこしく、theirは所有格ですが文法書を見ると「所有」の意味ではなく目的格関係を示します(江川, 1991,  p.18-19)。それら(行動)を使用する=(人が観念としてではなく)行動を実行する、それに連続体は関連しているとなりますが、その部分はニュアンスとして表すにとどめました。
 最終的には、「性行動は、適応的に機能する行動ともう一方の不適応な行動との切れ目のない広がりのなかに乳母車存在する」としました。それでも、「広がり」では continuum の線のイメージがでないとか、より軽い「ある」と硬い「存在」とではどちらがいいか、など気になりだすと尽きませんがひとまず校了しました。

Blasingame, G. D. (2005). Developmentally disabled persons with sexual behavior problems: Treatment・management・supervision. 2nd ed. The Safer Society Press.

江川泰一郎(1991). 英文法解説改訂三版 金子書房

閑話休題。最近、乳母車に赤ん坊を乗せて近所を散歩すると、必ずといっていいほど高齢者の方が寄ってこられます。知り合いであってもなかっても。必ず女性です。なかには赤ん坊の頬や足を撫でられる方もいらっしゃいます。赤ん坊はちょっとびっくりですが。

 時には、母乳ですか?ミルクですか?と尋ねられ、あぜんとしていると、やっぱり母乳って大事よねとおっしゃって去って行かれます。母乳への思い入れは依然強いようですが、それが良い母親像と結びつくと母乳の出にくい人やミルクで育った人にとっては、笑いごとではすまされないことになりそうです。     (ホンダタカシ)

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2016/04/29 07:46 | 未分類trackback(0)  | top

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