性問題行動における認知の役割

 性問題行動における認知の役割というテーマで小論を書き、投稿の準備をしています。調査や実験というわけにもいかず、かといって事例に依ることは不可能なので文献のレビューということになります。 小論なので研究レポートとし、このように5節からなります。
つけち記念館入場券

1.性問題行動における認知の歪み
2.認知に影響する背景情報
3.社会的情報処理としての認知
4.『性暴力被害とわたしの被害者を理解するワークブック』に対する認知の観点からの再構築
5.スキーマの位置づけと社会的情報処理
認知とは最も広い意味で知ることとされ、知ることだからこそ思考、記憶、知覚などを含みます。また認知は行動、思考、感情などとも深く結びつくところから、認知に誤りや偏りがあると行動などに悪影響を及ぼすと考えられます。それが問題行動や症状と呼ばれるるものです。

 この1〜5については、既に断片的ですがにここに一部を書いています。今回の力点は「人は自分や他人、それらを含む社会をどのように見ているか。」という社会的情報処理です。これに関連したCrick & Dodge(1994)論文を読みはじめました。発達心理学領域の論文ですが、そのなかに興味深い指摘がありました。

 彼らは、社会的情報処理プロセスが、データベース(記憶、獲得したルール、社会的スキーマ、社会的知識)とオンライン処理( 社会的手がかりの符号化、その解釈、目標分類、反応決定など)の二つに分かれるとします。データベースとは知識構造であって、オンライン処理とは目の前の状況や対象に依存したものです。

 子どもがちょっとあらっぽいプロレスごっこしているとします。相手の子はかなり乱暴な手を使ってきますが、もう一方の子はそれを本当のケンカだとは思いません。もう一方の子には、これまで相手の子はケンカ好きでもなかったし、他の場面では楽しく遊んだとという記憶や経験=データベースがあるからです。その上、プロレスごっこの最中も手加減していることがお互いによくわかる、つまり「手加減」という社会的手がかりがわかり=知覚し(オンライン処理)、「これは遊びだ」と解釈(オンライン処理)したので、適応的な行動が続きます。
 ところが、「手加減」という社会的手がかり気づかずに(あるいは無視し)、しかもあいつはすぐに手が出るというスキ−マ(記憶の偏った蓄積、知識)にばかり頼ると誤認が生じてプロレスごっこではなくなって、ただのケンカに発展します。不適応な問題行動です。

Nicki R. Crick, N. R., &  Dodge, K. A.(1994). A Review and Reformulation of Social Information-Processing Mechanisms in Children's Social Adjustment. (子どもの社会適応における社会的情報処理メカニズムのレビューと再構築:仮訳)Psychological Bulletin, Vol. 115, No. 1, 74-101.
(参考)美術館入り口 吉澤寛之・大西彩子・G・ニジ・吉田俊和(2015). ゆがんだ認知が生み出す反社会的行動:その予防と改善の可能性 北大路書房 


閑話休題。上の写真の猫は熊谷守一つけち記念館http://www.morikazu-museum-tsukechi.jp/の入場券です。栞になっています。守一の墨彩画で、記念館の入り口にもいます。猫の絵は多く、『熊谷守一の猫』(求龍堂)という本があるくらいです。その本には、寝ている猫をあごの方から描いたものがあります。丸くなった猫のからだが手前に大きく描かれ、鼻と口、それにヒゲのある左を向いた頭がのっています。変な言いかたですが、どれもじっくり描いたクロッキーのようです。
 「猫にくらべて犬は人間の言うことに気を使うので、それほど好きではありません。」(前掲書, p. 88)昨今の猫ブームとは一線を画します。
 付知(つけち)は守一の生まれ故郷です。木曽の中津川から飛騨の下呂につながる国道の中ほどで、そう高くはない山々がつらなります。JR中津川から北恵那バスで40分ほどのところにある小さな集落に記念館はあります。そういえば、熊谷守一美術館http://kumagai-morikazu.jp/も東京の住宅街にひっそりと建っています。こっちの壁は蟻の絵でしたが。  (ホンダタカシ)

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2016/09/16 13:25 | 未分類trackback(0)  | top

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