社会的手がかりの情報処理/10月の花火

 以前、社会的情報処理の理論をご紹介しました。甲浦1
  (1)入ってきた刺激情報を知覚し、まとめ、解釈する
  (2)目標をはっきりさせて、どのように反応するかを決める
  (3)選択した反応を実行する

 (1)例えば、誰かから『おはよう』と言われた時、オ・ハ・ヨ・ウと一音づつ耳で知覚し、「あいさつ」と解釈します。同時に、相手の表情、声の調子など見えた、聞こえた刺激も知覚して解釈に反映させます。さらに、昨日も残業で疲れて体が重くて眠いという自分の体調も感じます。入ってくる刺激は、自分の外側からも内側からもどんどんやってきます。これらを社会的てがかりと呼びます。

 (2)昨日この人とは意見が衝突したから、どう返事をしようか。おざなり?それとも無視?思案します。でも、長引かせても仕方ないのでリセットするつもりでやってもようと思います。

 (3)ちょっと元気はないけれど、甲浦2いつものように『おはようございます』と返事します。

 社会的てがかりに対する情報処理のプロセスをこのように仮定します。でも、(1)、(2)、(3)の順に処理していたのではどう見ても間に合いません。あいさつの後に、「昨日頼んでおいた資料はできた?」と催促されたり、「お昼一緒にどう」と誘われるかもしれません。返事をしながら次の言葉の処理をしています。刺激は次々やって来るので頭の中は息つく間もありません。
 
 多分私たちは社会的てがかりを順(逐次)に処理をするのではなく、同時並行(分散)処理をしているのではないかと考えられています。赤、直方体、高さ1メートル、〒を順に分かって「ポスト」と理解するのではなく、あたかもそれぞれが一斉に処理されているかのごとくです。そこに過去の経験から蓄積された膨大な記やスキーマ、いわば知識が関与します。情報科学の影響のもと、私たちの脳(神経ネットワーク)における思考のモデル化です。甲浦3

 社会的てがかりの処理の仕方は、社会適応を左右します。逆に社会適応は社会的情報処理に影響を与えます。冗談を悪意ととると争いになりますし、争いになれば他人に善意は期待できないとの偏った理解につながります。
手筒花火

Nicki R. Crick, N. R., &  Dodge, K. A.(1994). A Review and Reformulation of Social Information-Processing Mechanisms in Children's Social Adjustment. Psychological Bulletin, Vol. 115, No. 1, 74-101.(仮訳:子どもの社会適応における社会的情報処理メカニズムのレビューと再構築)

 閑話休題。昨夜見た愛知県豊川市、諏訪神社の手筒花火奉納です。人がかかえた大きな筒から花火が吹出し、最後に大音響とともに破裂します。神様へ向かう光と音が私たちをゆさぶります。 
 ここではモノクロームの写真をよく使います。形と配置がくっきりするからだと思っています。いつもはカサッという心地よいシャッター音の1951年製の古いカメラですが、手筒花火だけはシャッター音が効果音でしかないiPhoneです。うーむ。        (ホンダタカシ)
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2016/10/12 09:30 | 未分類trackback(0)  | top

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