女性の性加害者(3)

   以前にもご紹介した「性加害者のアセスメントと治療ハンドブック」の第15章「女性の性加害者の研究」の後半部分です。

「分離と独立を通じて自己意識を発達させる(健康な)男性と対比して、(健康な)女性は対人関係との関係において自己同一視や自尊感情の感覚を形成する傾向がある。」(p. 376)Handbook of SAST
 こうしたジェンダー特有のテーマがあるとの指摘をもとに、女性の犯罪/加害者を考えるうえでのポイントは対人関係だと主張します。女性加害者は対人関係上の課題を持つことが多く、人生における脆弱性となっているのではないか。

 女性自身はまた、被害にあうことも多く、さまざまな形の被害の影響のために機能不全の対人関係パターンを示したり、他者に過度に依存する傾向もあるとされます。しかし一方で、家族や友人などから健康的でポジティブなサポート受けることも少ない。

 したがって、女性性加害/犯罪者のアセスメントや支援にあたっては、こうした対人関係上の課題をしっかり検討することが重要だとされます。「社会での強力な結びつき、家族への愛着、友人関係」は構成要素であるし、社会でのつながりへのニーズも高いことを考慮すれば、支持的で社会的なネットワーク活用は支援に有効であるかもしれません。ただ、対人関係がなぜジェンダーとしてのテーマとなったのか自転車2についてはふれられてはいません。
  またこの章では再犯についても述べられ、女性の性加害者が再び性加害/犯罪を行う率は、平均6.5年のフォローアップ後で1.5%、オランダでの13.2年のフォローアップでは1.1%だっだとの報告です。でした。かなり低い率で、「犯罪で有罪になると新たな犯罪に関わる可能性が少ない」(p. 372)といえます。ただし、他の犯罪を含めれば前者では20%、後者では27.6%だったそうです。問題行動の種類やタイプによっ ては異なるようです。

 このハンドブックの守備範囲は広く、知らないテーマがたくさん出てきます。例えば、第14章は「インターネット・ポルノグラフイと性犯罪」というタイトルです。SNSなどによる問題が指摘されるなか、関心をそそる部分です。いずれご紹介します。
 またここでご紹介している文献のほとんどは、「ASB研究会Study Group on AntiSocial Behaviours」で翻訳し読んだものです。疑問を出しあったり、意見交換するのでたくさん頭にはいります。
Cortoni, F. (2016). Working with Women Who Sexually Offend.  In M. S. Carich & S. E. Mussack (Eds.) Handbook of sexual abuser assessment and treatment. The SafereSociety Press. pp.365-386.


ウン文書1ベルト・エーコ 橋本勝雄(訳)「プラハの墓地」(東京創元社)には、3つのフォン本2冊トが使われていることに気がつきます。太字明朝体で書かれた『1.曇りの朝、その通行人は』では、老人が日記を書き出し始めた、と<語り手>(誰だ?)が<読者>(読んでいる俺?)に説明します。
 ずいぶん人をくったタイトルの『2.私は誰なのか?』は細字の明朝体で、1897年3月24日の日記が始まります。私はシモニー二だと明かされますが、同時に私はダッラ・ビッコリ神父でもあるんじゃないかとゴチック体で日記の中で?独白されます。このあたりから<読者)の私は、主人公はどっちなんだと混乱しはじめます。
 翌日25日の日記『3.《マニーの店》』ではブリュとビュロという2人の医師とレストランでペトリエール病院の精神科医シャルコーの催眠療法やヒステリー研究の話をし、シャルコーを訪問した精神分析学の祖フロイトが登場します。
 巻末には主人公シモーネ・シモニーニ以外は全部実在の人物だ(確かに)との説明があり、また ストーリー(物語)とプロット(筋書き)は違うからと丁寧な対照表までついています。
 という具合に進んでいきますが、物語のテーマは「シオン賢者の議定書」(これなに?と思った方は検索!)らしいのですが、まだでてきません。エーコの仕掛けにはまらないよう、次はどんな話題かと注意深くわくわくしながら読んでいるところです。
 同時併読しているのは、レイ・セレスティン 北野寿美枝(訳)「アックスマンのジャズ」(ハヤカワ・ポケット・ミステリー)。ルイ・アームストロングをモデルにした?私立探偵、警官、元悪徳警官が、ジャズを聴いていない者は斧で殺す、と予告する犯人を1919年の活気と危険に満ちたニューオーリンズで追う推理小説です。あれこれ手を出したので書くのが遅くなりました。     (ホンダタカシ)

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2016/11/13 10:40 | 未分類trackback(0)  | top

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