「共感」は気づくこと

  自閉症スペクトラム障害の人を理解し対応する基本的な枠組みとして、英国自閉症協会NASのSPELLがあります昼下がり http://www.autism.org.uk/about/strategies/spell.aspx。授業でも、このブログでも以前にご紹介したことがあります。

 SPELLとは、Structure構造化、Positive (approaches and expectations)ポジティブなアプローチと期待、Empathy共感性、Low arousal興奮を減らす、Linksつながる、の5つの基本を表した語の頭文字を組み合わせたものです。
 このなかの「共感性」が今回のテーマです。その説明の前半部を訳しますと、

 ASDの子どもや大人の見方で世界を見ようとすることが求められ、そうすれば彼らを引きつけ関心を持つものは何か、さらに重要なことだが彼らが怖れるもの、没頭するもの、苦しめるものは何かがわかる。それが彼らに働きかける「技能craft」の秘訣である。

  「その人の見方で世界を見よう」とすることが共感だとします。自分の見方をこわしてその人の見方にチューニングしていくことです。そのさなかに「あなたにはそういうふうに思えたんだ」、とか「そう感じたのはもっともだ、そういうことなんだ」という気づきの瞬間がおとずれます。自閉症スペクトラム障害のある人に限ったことではありません。
道頓堀  国語辞典にあるように「他人と同じよ うな感情(考え)になること」(新明解国語辞典第七版 三省堂)とは少し違います。神田橋先生が説かれるように、共感はするものではなく「あっ」と気づくものです。

 相手の見方や考え方に気づいたことが伝わると、不思議なことに、伝えられた人もまたある瞬間に自分の課題や行き詰まりに気づきます。もやもやしたものが晴れて「ああ、そういうことだったのか」と気づきます。これが洞察といわれるものかもしれません。
 ここにいたる道すじは難しいけれど興味はつきないところです。もう少し考えます。
神田橋條治 林道彦・かしまえりこ(編)(2012)「精神科講義」創元社           (ホンダタカシ)

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2016/12/23 17:35 | 未分類trackback(0)  | top

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