トラウマ・インフォームド・ケア/魔法使いになりたいという相談

 非行や犯罪をした人の中には、自分自身が被害や被虐待を体験した人が多いことが知られています。例えば、少年院に在籍する少年と一般高校生を比較した研究では、その体験の比率が数倍から十数倍高いことが示されています(松浦直己(2015) 非行・犯罪心理学:学際的視座からの犯罪理解 pp.217-224 明石書店)。もちろん、被害や被虐待体験が非行や犯罪の言い訳になるわけではありません。

 被害や被虐待を体験が身体や心理におよぼす有害さや影響、つまりトラウマを知識と理解をベースTIP57.jpgに対象となる人たちへ支援や教育を提供したほうが、誰にとっても健康で安全ではないかという考え方がでてきます。それがトラウマ・インフォームド・ケアTrauma-informed careです。訳せば、トラウマの情報に基づく支援、というところでしょうか。少し固い訳ですが。

トラウマの定義のひとつをご紹介します。
身体的心理的に害や恐怖を体験させる単一の出来事、複数の出来事、環境の組み合わせであって、個人の身体的社会的心理的精神的幸せに対して、持続的で有害な影響を与えるもの。
 この定義は、写真のトラウマ・インフォームド・ケアの冊子の術語集によりました。(Trauma-Informed Care in Behavioral Health Services TIP 57(2014) アメリが合衆国保健福祉省のSAMHSA http://store.samhsa.gov/product/TIP-57-Trauma-Informed-Care-in-Behavioral-Health-Services/SMA14-4816

 トラウマ・インフォームド・ケアでは、トラウマの知識やおよぼす影響の理解は当然のこととして、
実施に向けて重要なのはスクリーニングとアセスメントだとされます。アセスメントには専門的な訓練や教育が必要とされますが、スクリーニング(ふるい分け)は実施の簡単な質問紙法が用いられることが多いようです。

 スクリーニングのツールとしてACE(
児童期逆境体験Adverse Childhood Experience)スコア/質問紙があります。10の質問に対してハイーイイエで答えるというものです。回答者は子どもではなく成人で、18歳までの間を回想して答えます。例えば第1問は、こんな感じです。坪井聡(2016).  児童虐待の被害を測定する国際的調査票の日本語版の作成 科学研究費助成事業 研究成果報告書(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-24790625/) による日本語版です。
あなたの父、母、あるいは同居する大人(両親以外)は、よく、またはとてもよく・・・あなたを罵(ののし)る、侮辱(ぶじょく)する、けなす、またはあなたに恥をかかせるようなことをしていましたか?

もしくは、
あなたの身体が傷つけられるかもしれないと怖くなるような振る舞いをしていました か?
       はい    いいえ

 ACEを使っての研究論文も出ています。ただ、このACEは戦争や自然災害が入っていないところが難点です。他にも詳細なWHO版があります。またPTSDのアセスメントなどを目的としたリストもいくつかあります。加害者の心理学的支援でのスクリーニング実践につなげたいと思っています。またご報告します。
窓
 前回にビッグイシュー日本語版303号をご紹介しましたが、そのオンライン版2月16日号の「編集部だより」に引きつけられました。図書館大好き編集者のマキノさんが図書館での調べも時計のデータベースサイトである「レファレンス共同サービス」にたどりつき、その相談内容のなかに小学生からの『魔法使いになりたい』というものがあったそうです。その相談を受けた図書館司書の方が、そんなのないよとか、なに考えてんのアンタ、などと多分おっしゃらずに(ホンダの勝手な憶測)、参考図書を探しだされたそうです。小学生は紹介された本を借りてお母さんといっしょに修業し、みごとに成果を出したそ うです。どんな成果を出したかは「魔法使いになりたいという相談」で検索!。図書館おそるべし。   (ホンダタカシ)


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2017/02/18 10:21 | 未分類trackback(0)  | top

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