トラウマ・インフオームド・ケアTICはパラダイムシフトをもたらす

 今夏の発達障害学会でも発表する予定で、発表論文を書きながら文献を読み、読みながら考えるという作業を繰り返しています。とはいっても締め切りは4月末です。
 
 前回、トラウマ・インフオームド・ケアTICにおいては、クライエントと呼ばれる人は、トラウマ・ストレスの事態に対してなんとか適応的に対処しようと努力した人とみ街角2なすとお伝えしました。脅威となるような場面でなんとかしようと試みました。ですから、クライエントがみせる問題や症状はその結果であり、トラウマの出来事に対して起こりがちな反応であるとみなすことできます。
 例えば、他者と親密な関係を築くことを避けようとする人は、親密さの持てない問題のある人、対人関係に問題のある人と理解するのではありません。トラウマをもたらした状況では、親密な関係になることが危機をもたらす、例えば裏切られる(虐待される)ので、生き残るために親密さを回避し、サラッとしてよそよそしい人間関係を選択したかもしれません。クライエントの行動は、トラウマをもたらす環境では適応的なスキルであったと捉えなおすことができます。

 Levenson & Willis (2014)はそれを 「これまでのパラダイム」から「トラウマ・インフォームドのパラダイム」への「パラダイム・シフト」と呼んでいます(p.18,  T able1.2)。そのなかで、例えばこれまでのパラダイム」では「よくない行動は、不道徳さ、いびつな性格、動機の欠如によるものだ」としましたが、パラダイムを変えて「よくない行動は早期の体験というレンズを通じて検討する」街かど1と変更されます。先の例でいえば、親密さを欠く人間関係は現在では実りある適応的なものとはいえませんが、トラウマ出来事のもとでは、なんとかしようと苦しんだ結果で適応的なものでした。不適応な健康さを欠くものとみなす必要はありません。
 したがって、これから豊かなゴールに至るためには、本人と協働して対人関係の行動を点検し再構築に向かいます。治すのではなく、身につける、です。こうした観点からも、トラウマ・インフオームド・ケアでは、クライエントと協働する態度やストレングスに着目する視点が見てとれます。  

 前回、文中で「トラウマ出来事」とすべきところを「トラウマ・インフオームド・ケア出来事」と書いてしましました。訂正します。
 写真はいずれもブタペスト市内のスナップです。もう少しくすんでいる印象です。               (ホンダタカシ)

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2018/03/30 10:37 | 未分類trackback(0)  | top

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