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障害者虐待はまん延しているのではないか

  障害者のトラウマや逆境体験に関する文献を探していると2012年のアメリカでの調査結果がありました。
Baladerian, N. J., Coleman, T. F., & Stream, J.(2013).  Abuse of People with Disabilities.  Victims and Their Families Speak Out - A Report on the 2012 National Survey on Abuse of People with Disabilities-  Spectrum Institute Disability and Abuse Project. Retrieve from http://www.disabilityandabuse.org (August 25, 2018)
玄関ホール
(バラデリアン, N. J., コールマン, T. F., ストリーム, J. (2013). 障害者虐待 被害者とその家族の主張 ー2012年障害者虐待に関する全米調査ー)(仮訳;著者名の読み方は未確認)
  この調査はインターネットを通じて行われ、障害者当事者はもちろんのこと、その家族や支援者も参加しています。支援者には直接のサービス提供者、ソーシアルワーカーや司法関係者なども含まれています。
 
 回答した障害者のうち70%余(958人/1364人)が被虐待体験があったと報告しました。同様に家族では63%(1431人/2249人)でした。7割前後とはかなり高率です。著者らが言うように、コントロール群を用いるなど統計的には十分とはいえないため、結果の数字をそのまま一般化するには慎重さが必要かもしれません。しかし、タイトルにあるように被害を受けた障害のある人とその家族の主張speak outを聞くことが重要です。
 私たちの2007年の知的障害者を中心とした調査では26.6%(173人/650人)でした(川口 他, 2007)。アメリカの調査に比べ母数が異なり率も低いですが、それでも全体の1/4です。障害者虐待は思いのほ木々か広がっているのではないかと思える結果です。

 さらに驚くべき数字があります。被虐待体験のあった障害者のうち、2/3(62.7%)は通報しなかったのです。ただし、家族が関与すればその率は幾分低下します。でも、身体的虐待(暴力)被害者の40%、性的虐待被害者の41%強は通報していません。ここでの通報先は、警察や保護サービスとなっており、日本では行政機関(市町村福祉事務所)や警察が相当するようです。
 では、なぜ通報しないのか。通報してもなんら変わらない、無駄だ、との回答が58%です。怖い、恐ろしいとの回答が38%、どこへどうやって通報していいのかわからないとの回答が33%です。虐待の被害者やその家族や支援者への情報提供不足を指摘することが多いようですが、それ以前に、通報しても意味がないとの無力感やあきらめが先にあるとの調査結果です。虐待への対応に関しては、支援の内容やその実施機関への信頼が実に薄いのです。
 こうしたことを考えれば、公表される被虐待者数の背後にも多数の被害者が支援を待っているはずです。
 障害者雇用者数の水増し問題が連日報道されています 。これ以上支援を求める障害のある人の信頼感をくだき、無力へ追いやることがあってはなりません。

川口敦子・松澤知子・細田陽子・陳愛玲・伊庭千惠・隈部一彦・福嶋裕美・本多隆司(2007).  反社会的行動のある知的障害者への支援ーその1被虐待体験との関連性の検討ー  日本心理臨床学会  第26回大会
       (ホンダタカシ)
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2018/08/25 17:43 | 未分類trackback(0)  | top

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