田辺市美術館など

 「熊谷守一 書と絵と肖像」展を見るために田辺市美術館http://www.city.tanabe.lg.jp/bijutsukan/へ行きました。熊谷守一を見るの田辺市美術館1 は3回目でしたが、今回はタイトルにあるように書と写真が多いのが特徴です。装飾のようにもみえる単純化され平板化された油絵とは違って、ダイナミックさは同じですが濃淡が強いのが印象的な書です。知っているけれどみたことがない字、読めない字だけれどこれじゃないかと思える言葉です。

 美術館は折り紙で作った箱をいくつかつなぎ合わせたようにみえる建物です。裏から見るととても美術館には見えないけれど、じゃ何かと問われると困ってしまうような建物です。豊島区立熊谷守一美術館http://kumagai-morikazu.jp/、熊谷守一つけち記念館http://www.morikazu-museum-tsukechi.jp/に比べると、公立ですが建物の個性が際立つ美術館です。ドアの取っ手の意匠が目を引きますが、館内はいたってオーソドックスです。
田辺市美術館2
 この美術館の分館である熊野古道なかへち美術館http://www.city.tanabe.lg.jp/nakahechibijutsukan/index.htmlも魅力的です。紀伊半島のほぼ中央です。金沢21世紀美術館を手が岐阜県美術館けたSANAA(妹島和世と西沢立衛による建築ユニット)の最初の美術館だそうです。

 館内にあった美術館のパンフレットはどれも楽しいものです。  「ナンヤローネ」と題した岐阜県美術館http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/のパンフレットは月ごとに司令のかかれた楽しい月めくり式の催し物案内です。
 7月の司令は「日本画の逆襲を目撃しよう。」難しいなあ日本画は、という感想を追い出すような司令です。8月は「熊谷守一を『モリカズ』と呼ぼう。」です。熊谷守一は結構人気ですね、お名前を呼び捨てにするのは畏れ多い。
 月ごとにいくつかの展示が案内されていますが、右端にMEMOとあり画家の誕生日が載っています。今日7月7日は七夕などではなく、シャガールの誕生日!

 館長さんは日比野克彦!とあります。ここも期待できそうです。このパンフレットのデザインもひょっとしたら・・・。      (ホンダタカシ)

2017/07/07 09:59 | 未分類trackback(0)  | top

トラウマのスクリーニング

暗がり2  なぜ性問題行動、性加害行動のある人を対象にトラウマのスクリーニングをするのか。「トラウマに暴露することはありふれたことである」(SAMHSA's TIC, 2014, p.112)からです。以前ここでも、また授業でもご紹介したことがありますが、各種調査の対象者の多くに、トラウマの履歴があったことが示されています。蔓延してると表現するものもあります。

 心理的社会的な課題のある人に対してなんらかの支援やアプローチをするときに、トラウマに関連した症状や障害を知らないままであれば、対象者に対する理解は不完全であるばかりか誤ることさえあります。支援やセラピーは効果を上げにくくなり、トラウマ関連障害を憎悪しかねないとも限りません。

 スクリーニングのツールとして着目しているのが、児童期逆境体験Adverse Childhood Experience (ACE) 質問紙です。現在、既存のACE質問紙を組みあわせ、児童虐待、家庭機能不全にいじめ体験も加え、分かりやすくしたものを作成中です。
 ACE質問紙でスクリーニングすれば終わりというものではありません。スクリーニングで陽性であれば、これまでの記録やアセスメント結果を再点検し、トラウマ関連症状・障害や合併症のアセスメントの段階にはいります。
暗がり1
 スクリーニングではトラウマに関連することだけを探索するのが目的ではありません。その最後は、対象者のストレングス、レジリエンスの確認が必要です。SAMHSA's TICではレジリエンスこのように説明されます。

「個人、家族、地域社会として、立ち直る能力や逆境を乗り越える能力を指す。頑健さという個人の特性以上であって、レジリエンスには困難や逆境、またはどちらかの出来事を切り抜けることのできる利用可能な資質の活用プロセスが含まれる(以下略)」(p. xviii)
 トラウマ・インフォームド・ケアTICは対象者のストレングスに着目しているところから、そのスクリーニングも欠かせません。この冊子にも紹介されていますが、日本で研究されているレジリエンス・スケールがいくつかあります。その活用も検討しています。いずれご紹介します。
SAMHSA's TIC;Substance Abuse and Mental Health Services Administration Center for Substance Abuse Treatment (2014)  A TREATMENT IMPROVEMENT PROTOCOL Trauma-Informed Care in Behavioral Health Services. TIP 57. (U.S.DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES)  (米国物質乱用・精神保健サービス局(2014) 治療改善実施要領:行動面の健康におけるトラウマ・インフォームド・ケア:57のヒント」 あまりに長いのでSAMHSA's TICと略しました)

さて。Sax_20170624175414b82.jpg
最近、サックスの練習に行くと先生からほめてもらえることが増えました。『これは去年のホンダさんには絶対できひん曲やな』と先生はおっしゃいます。うれしいけれど、去年は、ということは最近までそんなにもひどかったのか、と複雑な思いが浮かびます。ほめてもらえたので、よしとしよう。       (ホンダタカシ)

2017/06/23 09:54 | 未分類trackback(0)  | top

性別を問う

 メーカーがすでに買収されたのに買ってしまったペブルウオッチPebble Watchです。iPhoneと連動して動きます。pebble.jpg この時計には歩数や睡眠時間!を管理するPebble Healthというアプリがあり、iPhone上から年齢、身長、体重、性別など使用者の基本情報を入力しまする。
 このPebble Healthというアプリでは、性別の選択肢は写真の画面にあるように「男性male」、「女性female」、「その他other」の3つ あります。

 先日、市民を対象にした行政が実施する調査アンケートについて、男性女性という二者択一であることに再考を促す意見を聞きました。鋭い問題提起であったと思います。

  性別を問うているのは、必ずしも生物学的性だけを対象にしたものではありません。自分の性をどのように認識しているか、つまり性自認をも対象にしています。性(別)は、生物学的な面やジェンダーだけではとらえず、性自認、さらに性指向なども含めて多面的にとらえる流れです。
Pebble_Health.jpg
 「その他other」という選択肢が最適かと言えば、難しいところです。
 性別の選択は各種の申請書、調査やアンケートなどに限らず、例えば、なくては困るトイレの表示にまで及びます。どのように考え合意にいたるか、まだまだ広範な議論が必要ですが、時代は進んでいます。これまでのように男性女性の二者択一しかないというは固定的過ぎるのかもしれません。


  さて。
 このペブルウオッチにはPebble Healthというアプリと連動して、歩数計や睡眠(熟睡)時間を計る?機能もついています。この時計を自慢すると、器械に健康管理されるのは嫌だという反応が必ず返ってきます。でも目覚まし時計と同じで人の機能の拡張です。今日は11,000歩でした。
(ホンダタカシ)


2017/06/09 19:01 | 未分類trackback(0)  | top

トラウマ・サバイバー

  前回にも触れた米国物質乱用・精神保健サービス局の「治療改善実施要領:行動面の健康におけるトラウマ・インフォームド・ケア:57のヒント」(仮訳) のはじめの方に術語集Terminologyというページがあり、専門用語がいくつか解説されています。
 その最後に、trauma survivor(トラウマ サバイバー)が載っています。その考え方はこうです。


 この語句はトラウマを経験した、またはトラウマのストレスへの反応がある人を指すことがある。言葉や語の使用がリカバリーを方向付けたり、再トラウマ化の進行の一因となることがあるということを理解し、「被害者」という語を避け、その代わりに適切な場合にはsurvivor(サバイバー)という語を使用し、希望のメッセージを提案することが本書の意図である。

 survivorはvictimをならんで使用されることもありますが、本書ではsurvivorのみが使浜野球用されています。victimは「犠牲(者)」ですが、survivorは「生き残った人、生存者」と辞書にあるものの、「トラウマ後に生き残った者」ではニュアンスが異なり、かといって「回復者」では意訳が過ぎるので、一般には原語のまま「サバイバー」と訳されています。.

 ジュディス・L・ハーマンの「心的外傷と回復」を訳された中井久夫先生は、巻末の「訳語ノート」でsurvivorについてこう書かれています。
survivorは元来「その後に生きる者」の意味で、「その後」とは一般に厄災的なことである。十七世紀における英語の初出は、「アダムとイヴ(の楽園追放)の後に生きる者」の意味である。

 「心的外傷と回復」では八割を「被害経験者」か「生存者」にしたとあります。例えば、ホロコーストでは「被害経験者」ではしっくりこない。また「被害者」は被害から被害から時計時間・心理時間のいずれもがあまり経過していない場合で、「被害経験者」は被害から時間が経っている場合に当てられています。さらに「児童虐待経験者」ではあるが、大人になっている場合には「その後を生きる者」と強調されています。

 原著を読み込んで、字義を超えて時間経過までを込めた訳語の選択は思いもよらないことでした。中井先生の指摘にそえば、われわれが対象とする児童期逆境体験ACEの経験者は、成人が児童期を回想したものなので「被害経験者」よりは「その後を生きる者」が近いものかもしれません。そのうえ、原著では「希望のメッセージ」を提案したいとの意図があります。それならば、一般的に使用されているサバイバーよりも、より人間に近い「その後を生きる者」がしっくりくる気がします。訳語が当てにくいとはいえ、サバイバーではあまりに安直かもしれません。ここでは、少し生硬な印象はありますがtrauma survivorを「トラウマ後を生きる者」としました。
Herman, J. L.(1992). Trauma and Recovery . Harper Collins Publisher, Inc. (中井久夫(訳)小西聖子(解説)(1996). 心的外傷と回復 みすず書房)
       (ホンダタカシ)

2017/05/26 14:15 | 未分類trackback(0)  | top

グラウンディング・テクニック

観覧車  米国物質乱用・精神保健サービス局の「治療改善実施要領:行動面の健康におけるトラウマ・インフォームド・ケア:57のヒント」(仮訳) の第4章に、「グラウンディング・テクニック」が紹介されています。

 虐待などつらかった不快な体験(逆境体験、トラウマ体験)によるさまざまな影響や障害などをスクリーニング、あるいはアセスメントする際に、調査対象となった人(クライエント)が思い起こした記憶やその時の強い感情に圧倒され、混乱することがあります。面接している時にも起こることがあります。そうした時に面接者がクライエントに行う対処方法の一つが「グラウンディング・テクニック」です。

 (過去の)トラウマに関連して混乱したり解離などが起こったのであれば、対象となる人(クライエント)に「いま、ここ」を強く意識させ、現実感とその感情を確認させる必要があります。それは、あたかも映画館の中で心の映画を見ているようなものといえます。そうであれば、映画館を出て陽のさす場所=現在の環境の中へへ出よう、という比喩で説明します。同時に、ここは安全で安心できる場所であることも必ず説明します。

 自分の位置かにを確認し自分を取り戻すエクササイズとして行われるのは、例えば、

  ・壁にかかっているものを言う・赤いものの名前を言う
  ・今日の日付・最近の出来事を言う
  ・こぶしを握って感情のエネルギーをそこに移し替える
  ・鼻から吸って口から吐き出す深呼吸  など。
 グラウンディングgroudingは「自分を見失わないこと」(ルミナス英和辞典 研究社)とあり、地に足をつけて自分=現実を見失わないこととの意味ですが、訳しにくいので安直ですがカタカナ読みのままです。
 逆境を体験した人と関わる支援者や面接者には身についておくべき基本的な技法です。
 
A TREATMENT IMPROVEMENT PROTOCOL Trauma-Informed Care in Behavioral Health Services TIP 57(2014). Substance Abuse and Mental Health Services Administration Center for Substance Abuse Treatment (U.S.DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES). p.98. Retrieved from https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK207201/ (May 14, 2017)
きむら
【参考】Melnick, S. M., & Ellen L. Bassuk, E. L.(2000). Identifying and Responding to Domestic Violence Among Poor  and Homeless Women.  A collaboration of the Better Homes Fund, HCH Clinicians’ Network Research Committee (National Health Care for the Homeless Council). p.8. Retrieved from https://www.nhchc.org/wp-content/uploads/2012/02/IdentifyingRespondingtoDomesticViolence_2000.pdf (May 14, 2017)

 さて。
 自伝を書くほどの歳でもないだろうと思ったけれど、「木村充輝自伝ー憂歌団の僕、いまのぼくー」(K&Bパブリッシャ−ズ)を図書館で借りました。憂歌団のほとんどの曲がそうであるように、大阪弁をブルースにのせること、たとえ外国の歌であっても日本語で歌うこと、その軌跡が自伝の形で語られます。もちろん、それだけではありませんが。憂歌団という名前だってブルース・バンドの日本語訳。   (ホンダタカシ)

2017/05/14 10:07 | 未分類trackback(0)  | top